Appleは、チップの設計などを手掛ける英国のメーカーDialog Semiconductorの資産の一部を6億ドル(約672億円)で取得することで合意した。Dialogから電源管理技術のライセンス供与を受け、同社の従業員300人以上を獲得する。Appleは同社に対し、まず特定の資産について現金3億ドル(約336億円)を支払い、今後3年間の製品提供についてさらに3億ドル(約336億円)を支払う。買収は2019年上半期に完了する見通しだ。
Dialogは、売上高の約75%をAppleに依存しているとされており、主にスマートフォンの充電や電源管理用のチップを提供している。2007年に登場した初代「iPhone」から、iPhoneには同社のプロセッサが採用されてきた。電源管理チップは、iPhoneを正しく充電し、消費電力が過度に高くならないようにするための重要な役割を担う。
Appleのハードウェア技術担当シニアバイスプレジデントを務めるJohny Srouji氏は声明で、「当社とDialogの関係はiPhoneの初期の頃にさかのぼり、この長期にわたる関係をこれからも継続していくことをうれしく思う」と述べた。
TechCrunchによると、従業員数ではAppleで最大規模の買収になるという。Appleが獲得する従業員数はDialogの総従業員数の約16%を占める。これらの従業員は長年Appleと密接に連携し、チップ開発を支えてきたと両社は述べた。
Dialogの最高経営責任者(CEO)を務めるJalal Bagherli氏は声明で、今回の合意は長期的な関係を再確認するものであり、「Dialogが築き上げてきた力強い事業と技術の価値を示している」と述べた。
Appleは、iPhoneやiPadの中核部分を長年社内で設計してきたが、さらに多くの部分を独自に開発する動きを見せている。より多くのチップを独自に開発すれば、サプライヤーに対する依存度が低下し、コストを管理できるようになる。
2017年には、Appleが早ければ2018年にも独自のiPhone電源管理チップを製造する可能性があると報じられていた。
Appleは、イタリアのリヴォルノ、英国スウィンドン、ドイツのナベルンとノゥエオビンにあるDialogの施設を取得し、欧州における足場を強化していく。同社は2000年以降、欧州で従業員を約2万人増員しており、ミュンヘンと英国セント・オールバンズに既にチップ設計センターを構えているとReutersは報じている。
この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。
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