海外に比べてまだまだ古い体質を引きずっている不動産業界。10月4日に開催された「不動産テックカンファレンス2018〜加速する業界変革〜」では、『次世代へのバトンとなる不動産テック』と題し、いま不動産業界で注目されているITベンチャー企業リブセンスの不動産ユニット ユニットリーダーである芳賀一生氏が登壇。今なぜ不動産テックを推進するべきなのか、データ整備や規制緩和のその先にある具体的な不動産業界の未来について解説した。
リブセンスは、代表取締役社長の村上太一氏が早稲田大学1年生だったとき、大学が実施したビジネスプランコンテストで優勝。2006年に起業してリブセンスを設立しアルバイト情報を掲載する「ジョブセンス(現マッハバイト)」を開設したベンチャー企業だ。2011年には東証マザーズに史上最年少社長として上場。2012年には東証第一部へ市場変更し、現在は従業員数450名以上の規模を誇る企業へと成長している。
リブセンスが展開する主要事業は、「マッハバイト」や「転職会議」などの人材領域と「IESHIL(イエシル)」や「 IESHIL CONNECT(イエシルコネクト)」といった不動産領域の2つだ。マンションの査定価格がすぐに分かるイエシルは、現在会員数が13万人を超えているとのこと。AIによる査定エンジンを開発し、クローラーで集めたデータをもとに、マンションの適正価格がリアルタイムでわかるようになっている。また、マンション周辺の治安や地盤、子育て環境などを客観的に定量評価も行っており、購入時や売却時の強い味方となっている。
一方、イエシルコネクトは不動産営業用のツールで、地震や洪水、液状化などの災害リスクや周辺環境の情報が確認でき、マンションの新築時の価格、価格査定エンジンによる独自査定の結果が、スマホからいつでも参照できる。
もう1つ、リブセンスとスターツコーポレーションによるジョイントベンチャーとしてフィルライフを設立。住まいの購入や売却、不動産投資に関する相談が行える「住まいのミカタ」を2018年にスタートさせた。このジョイントベンチャーは不動産テックの象徴だと語る芳賀氏。「それぞれ4名ずつ出向しているが、リブセンスはIT企業なのでラフな服装に対し、スターツはしっかりスーツを着て仕事をしている。文化の違いを感じつつもそれぞれが得意な部分があり、お互いわからない部分を補完してくれるので、ITと不動産の融合があんばいよく進んでいると思う」と話した。
アドバイザーは全員不動産業界経験者で、対面での相談を行っており、すでに相談客は1月間で100組以上もあるという。
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