中国のタクシー配車大手である「DiDi」とソフトバンクの共同会社である「DiDiモビリティジャパン」は、9月28日に大阪でのサービスを開始。これにあわせて記者説明会を実施した。
DiDiモビリティジャパンが開始する、「呼ぶ、乗る、降りる」の3ステップで配車から支払いまでをアプリで一括で届けるサービスは、UberやJapanTaxiがこれまで日本で展開してきたものと基本的に同じ。特徴は、中国語圏で5億人が利用するサービスを運用するDiDiが提供する、AI技術を駆使した効率の高いマッチングで、地球5000周にあたる2億kmのデータを、約5000人のデータサイエンティストたちが日々分析することで配車アルゴリズムの精度を高めているという。
タクシー側にはDiDiジャパンが専用のタブレットを提供し、開始時点で12社で1000台以上のタクシーを確保している。サービスエリアは、大阪市域と関西空港利用者をターゲットにしていることから泉州地域も含まれる。Alipayなど中国でメジャーな支払い方法に対応するほか、従来の現金、クレジットカード、タクシーチケットも利用可能で、配車の際にアプリ決済のいずれかを選択できる。
記者会見に登壇したソフトバンク社長執行役員兼CEOの宮内謙氏は、中国ではDiDiとタイアップしているタクシー会社の収益が上がっていると説明し、国内のタクシー会社にも同様のメリットを提供するために共同でビジネスを進めることを強調した。「最先端のAIを活用してクルマの移動をリアルタイムに把握・分析することで移動に関するあらゆる無駄を排除し、デジタルトランスフォーメーション全体にも貢献したい」(宮内氏)。DiDiが持つ最先端のAI技術とソフトバンクのマーケティング力を組み合わせ、業界全体の改革につなげることを目指す。
DiDiモビリティジャパン取締役の菅野圭吾氏は、中国で導入しているヒートマップによる乗車率の可視化や需要予測技術などを紹介し、「タクシー配車サービスはマッチングをいかにスムーズに行うかが重要」だと説明した。今回のサービス開始時期を決めた理由として、10月第1週から始まる中国の“中秋節”にあわせて来日する観光客の需要を見込んでのものだと説明するが、利用者とタクシー会社両方の利便性を高めることでタクシーの利用そのものを喚起し、白タクの排除にもつなげたいとしている。
第一交通産業代表取締役社長の田中亮一郎氏は、「最初はインバウンド向けのつもりだったが、日本人も使いやすいサービスにしている。タクシーの呼び方がわからないという顧客は意外に多く、そうした人たちに向けて浸透させたい」とコメント。現在全体で5割を切る実車率のアップにつなげたいと期待を語った。
今後のサービス対象地域の拡大については、2018年内もしくは年度内中に協議するとしており、まずは大阪での利用を高めることに力を入れる。また、サービス開始にあわせて専用アプリをダウンロードすると合計2500円のクーポンがもらえるキャンペーンを展開。知り合いを紹介するごとに1500円のクーポンが両者にもらえるキャンペーンは上限なしで10月末まで実施する。
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