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ヤフー“第二の創業”に挑む川邊社長--PayPayやデータドリヴンは次の柱になるか - (page 2)

山川晶之 (編集部) 阿久津良和2019年01月03日 13時00分
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 もちろん多くの候補がありましたが、「Pay」という印象を持たせたい、根づかせたいという想いが最初にありました。孫会長も一緒です。その上で会議や調査を重ねたところ、Pay単体はすでに商標登録済みだったため使えませんでした。そこで、「2回繰り返すか、3回繰り返すか」という結論から現在の名前になりました。発表後に、Yahoo!リアルタイム検索を見ていると、「PayPal」に似ているという意見が多く、「そう思う人も世の中にはいるのだな」というのが正直な感想です。

――現在、ヤフーでは「Tポイント」を運営するCCCと提携していますが、期間固定ポイントなど一部のポイント還元をPayPayに移行しています。CCCとの今後の関係について教えてください。

 ヤフーはTポイント・ジャパンの株主です。引き続き、Tポイントがお客様に支持されつづけるよう、今までと変わらず取り組んでいきます。

フィンテック領域はキャッシュレス決済以外にも

――フィンテック領域では、ヤフー傘下で宮坂氏が代表を務めるZコーポレーションがビットアルゴ仮想通貨取引所に出資しています。

 現在、仮想通貨取引所を開設すべく準備を進めています。以前は内部統制なども不明確な状態で取り組むベンチャーも多くありましたが、コインチェック事件以降はいわゆるネット証券やFX(外国為替証拠金取引)規模のシステム統制を行わないと、金融庁の許可も降りない状況となりました。

 そこでヤフー傘下のワイジェイFXから金融取引サービスに長けた人材をZコーポレーションに送り込み、準備を進めています。また、ブロックチェーンを利用したサービスにも視野を広めていますが、あくまでもブロックチェーンは技術の1つ。多様な範囲が想定されますが、現時点で具体的にはまだ明かせません。

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川邊社長が目指す“データドリブンカンパニー”とは

――社長就任時からデータドリブンカンパニーを表明していますが、進捗状況や目標を教えてください。

 まずはデータ基盤を開発し、各サービスでデータ活用することで、これまでにない生産性を向上させるのが目的の1つです。3年ほど前からデータサイエンティストを集約した「データ&サイエンスソリューション統括本部」を設けました。Yahoo! JAPANのビッグデータを一極集中させており、活用のためのプラットフォームもすでに完成しています。

 現在は各サービス担当者にプラットフォームの活用を促しているフェーズですが、正直なところムラがあります。データ活用に前向きなチームは積極的で、Yahoo!検索やYahoo!ショッピング、Yahoo! JAPANのトップページなどはデータドリブンを進めています。

 一方、われわれ経営陣の働きかけ不足で、人員不足や活用マインドが足りていない部分もあることは否めません。まずは各サービスでデータドリブンを可能にする環境を整備してからPDCAサイクルを回し、「ビッグデータ×AI」で高い生産性を発揮する「サービスの永久成長装置」を目指します。

――データ活用という文脈では多くの議論が巻き起こっています。ヤフーではどのようなポリシーでデータを取り扱っているのでしょうか。

 社内教育として法令遵守を重視し、プライバシーポリシーを通じてユーザーに対しても遵法姿勢を提示しています。

 現在、住所や生年月日といった個人情報はさほど重要ではなくなっており、人物像を推定できるような匿名化されたユーザー行動データをもとにデータドリブンを進めています。ユーザーに疑われることなく、データを活用した便利なサービスの提供を目指します。

 他方、「ログインID数」を重要なKPIとして設定しました。個人情報の取得が目的ではなく、誰がどのサービスを利用しているのか、というデータの蓄積が重要だからです。現在はマルチデバイス時代で、Cookieを継承できなくなり、ウェブブラウザー側もCookieを廃止する流れが出てきています。すでにDAU数(1日あたりのアクティブユーザー)やPVといった数の価値は目減りしています。

 気づけば、GAFA(Google、Apple、Facebook、Amazon)もGoogle以外はログインを前提としたサービスに切り替えており、われわれもその道を選択しました。

――データ活用で連想するのは広告分野ですが、それ以外での活用やデータ外販の予定はあるのでしょうか。

 まず社内におけるデータドリブンは、認識率やスクロール率の変更、動画視聴率などサービスの向上につなげます。次はやはり広告の効果を高めることになるでしょう。私に口紅の広告を見せても購入する可能性はありません。また、ECという側面ではユーザーが欲するタイミングでレコメンドを行い、商品購入のコンバージョンレートを高めることができます。

 外部との連携については、2月にDATA FOREST(データフォレスト)構想を発表しました。Yahoo! JAPANのデータと企業や自治体、研究機関が持つデータを連携し、新たな価値を生み出すことを目的としています。それがデータソリューションサービスのようなB2Bビジネスに成長すれば、可能性は無限大でしょう。

 構想発表以降は、産官学より百数十件ものテーマに対して相談を受けました。そこから厳選して20ほどの団体と取り組みが進行中です。詳細については、今後何らかの形で成果を発表します。

――データドリブンカンパニーとしてヤフーが目指す先は何でしょうか。

 まずは、業績を高めることが目標になります。利益は最後のKGI(経営目標達成指標)ですが、そのKGIを分解したKPIツリーにデータサイエンティストがデータとAIを当てて、改善しやすいKPIはどれかを判断します。次に改善するためのアクションを実行して可否を判断し、さらなるPDCAサイクルを回します。

 Yahoo! JAPANがさらなる成長を実現するには、2つの取り組みがあります。1つは既存サービスの使い勝手向上を徹底することです。もう1つは未着領域へのチャレンジです。レシピ動画サイトの「クラシル」を運営するdelyを7月に連結子会社化しましたが、料理に必要な生鮮食品の購入なども挑戦分野の1つとなるでしょう。ただし、生鮮食品の扱いは非常に難しく、過去にはローソンと共に始めた「スマートキッチン」から撤退しています。どのように実現するかは、まだ思案を続けるフェーズと言えるでしょう。

スタートアップと積極的にコラボへ

――最後に、delyの連結子会社化も含みますが、ベンチャーとの連携が増えているように見えます。どのような狙いがあるのでしょうか。

 1つは既存サービスを維持・発展させるだけではなく、新たな未来を創る企業だとユーザーから期待されたいという目標があります。その上で単独で作り上げるビジネスもあれば、最近日本でもベンチャーが先行してサービスをビジネス化しているケースも増え始めました。

 彼らの理想達成をお手伝いしながら、われわれのエコシステム内で成立するような形で取り組めたらと考えています。先ほどのdelyやRettyもその文脈で取り組んだ結果と言えるでしょう。また、先述の通り、ソフトバンクビジョンファンドが出資するベンチャー企業の国内展開も支援していくので、今後も連携は増えていくでしょう。

 私自身もそうですが、事業サイドを担っている宮澤(ヤフー常務執行役員メディアカンパニー長の宮澤弦氏)や小澤(同社常務執行役員コマースカンパニー長の小澤隆生氏)はベンチャー出身です。彼らの気持ちはわかっているつもりです。さまざまネットワークをたどり、彼らの新たな未来を切り開けることを、今後も目指します。

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