無料のメール管理ツールを提供するマーケティング企業のReturn Pathは2年前、ソフトウェア開発を目的に、従業員に約8000件のユーザーのメールを読ませた。Edison Softwareという、もう1つの無料メール管理アプリメーカーは、アプリの「スマートリプライ」機能を訓練するために、従業員に数千件のGmailのメールを読ませたと、WSJは報じた。
Return PathもEdison Softwareも、既にこのようなことはしていないと語った。だが両社とも、従業員にGmailのデータにアクセスさせるのは、ソフトウェア構築のために必要なことだと主張した。「ソフトウェア開発について理解している人なら分かることだが、人工知能は人間の知能から直接得られるものだ」とReturn Pathは公式ブログで語った。
ユーザーが自分のデータを開発者に提供するのは利用規約の一部なのだろう。それは、GoogleやFacebookのような大企業かもしれないし、20人規模の新興企業かもしれない。だが、ユーザーは自分が何に合意したのか気付かないことがよくある。
Googleで「Google Cloud」のセキュリティ、信頼、プライバシー担当ディレクターを務めるSuzanne Frey氏が米国時間7月3日に公開した公式ブログによると、Gmailユーザーのメールにアクセスを許可する際には、開発企業とアプリをすべて厳しく審査しているという。ユーザーに対しては、「Google以外のアプリにアクセスを許可する前に、権限を与える画面を確認することを強くお勧めする」と同氏は述べた。インストール済みのどのアプリが自分のアカウントにアクセスできるかを確認するには、「Googleアカウント」にログインし、「セキュリティ診断」を実施すればいい。
Googleは2017年6月、マーケターのターゲティング広告を支援する目的でユーザーのメールをスキャンすることを停止すると発表した。それ以来、サードパーティーアプリ開発者とデータプライバシーの問題が世界的に激論を呼んでいる。3月にはFacebookが、Cambridge Analyticaが8700万人以上のユーザーの個人情報に不適切にアクセスしたことを認めた。Cambridge Analyticaは、2016年の米大統領選でDonald Trump陣営につながりのあったデジタルコンサルタント企業だ。
ForresterのKhatibloo氏は、Gmailをめぐる論争はGmailユーザーだけにとどまらないと指摘する。Return PathあるいはEdisonを使っている誰かに自分がメールを送っていたとしたら、それらの企業の従業員は自分のメールも読んだ可能性があると同氏は語った。
「私はReturn Pathに自分のデータの評価を許可していないのに、私がメールを送った誰かがそのアプリを使っていたとしたら、私のデータも評価されてしまうことになる。これは重大なプライバシー侵害だと思う」(Khatibloo氏)
この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。
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