カリフォルニア州で米国時間6月28日に重要な個人情報保護法が可決された。これにより、シリコンバレーにおけるビジネスのあり方が再構築されることになるだろう。同法が施行されると、企業は米国内でも非常に厳しいレベルのプライバシー要件に直面する。
この法案は、6月28日にカリフォルニア州議会の上院および下院において投票が行われ、全会一致で可決した。その数時間後、カリフォルニア州のJerry Brown知事が同日署名した。太平洋時間28日午後5時までに法案が通過しなければ、11月により厳格な住民投票にかけられるため、この流れに押されて迅速に手続きが進んだ。
GoogleやFacebookなどのテック企業は住民投票に反対する構えをみせていた。28日は11月の中間選挙に合わせて住民投票を行うかどうか決定する期限だった。
プライバシー擁護者は新法を歓迎している。米電子プライバシー情報センター(EPIC)のエグゼクティブディレクターを務めるMarc Rotenberg氏は、新法によってプライバシー問題が中間選挙に影響を及ぼす論点になりうると述べた。
Facebook、Google、Uber、Amazon.com、Microsoftなどの大手技術企業を代表するロビー団体Internet Associationは声明の中で、法案が十分に議論されなかったと述べた。
今回の「California Consumer Privacy Act(カリフォルニア州消費者プライバシー法)」によって、テック業界のビジネスモデルは大きく変わる可能性がある。一般のインターネットユーザーが企業の収集したデータや誰にデータを販売したのかを確認できるようになる。それだけでもユーザーにとっては格段の変化だろう。大半のユーザーはターゲット広告のためにオンライン行動が追跡されていることを理解しているが、どんなデータが利用されているのかを包括的に把握しているわけではない。
この法案は、下院議員のEd Chau氏および上院議員のRobert Hertzberg氏(いずれも民主党)によって提出された。同法が施行されれば、ユーザーは詳細なリストを企業に請求できるようになる。「(データの収集や販売を)中止せよ」と要求する権利が法制化されることで、インターネット企業のビジネスのあり方がまもなく、一大変革期を迎える可能性がある。同法は2020年1月から施行される。法案を提案した両氏は今後、施行までの計画を進めるため州検事総長と協力すると述べている。
同法の通過を促した背景には、データプライバシーのスキャンダルが議員や規制当局のシリコンバレー企業に対する怒りを買っていたことがある。Facebookの最高経営責任者(CEO) Mark Zuckerberg氏は、ユーザー8700万人分の個人情報が英国の政治コンサルタント企業Cambridge Analyticaに不正流出したことが明らかになったことから、米連邦議員や欧州議会から追及を受けた。
欧州連合(EU)の一般データ保護規則(GDPR)が5月に施行されたのを受けて、新しい法律や規制で、より効果的に消費者をこうした状況から保護する方法が論点となった。米国の連邦レベルでは、GDPRと同様の法律は存在しない。新しいカリフォルニア州法も、EUが施行したGDPRの保護対策ほど強力ではないが、GDPRで認められた権利の一部が含まれている。
この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。
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