米ZDNetは、iRobotの最高経営責任者(CEO)で共同創業者のColin Angle氏にインタビューを行い、ロボット掃除機「Roomba(ルンバ)」の開発をめぐる物語、そして、人々がこれほどルンバに愛着を持つ理由について、話を聞いた。
——あなたが最初に事業を始められたのは、米マサチューセッツ工科大学(MIT)で研究に取り組んでいたときのことですね。MITには、どれくらい在籍されたのですか。
Angle氏:私は学部生としてMITに入学しました。何かを作りたいという自分の情熱を満たしてくれる大学を探していました。MITでは、学部を経て大学院に進みました。そこで、ロボット工学の教授(Rodney Brooks氏)と関係を築き、彼とその後出会ったもう1人(Helen Greiner氏)の3人でiRobotを設立しました。それ以来、私はほかの仕事はしていません。
——3人がiRobotを立ち上げようと思ったきっかけは何だったのですか。
Angle氏:そのアイデアが生まれるきっかけの1つになったのは、不満からでした。ロボットについて、本で読んだり映画で観たりすることはあるのに、それらのロボットは実際には存在していませんでした。Brooks教授とHelenの主導の下、われわれはMITの研究室でマシンに知性を持たせる戦略を考え出しました。
私の学位論文のテーマは、「Genghis(ジンギス)」という6足歩行のロボットでした。Genghisはとても重要なロボットです。なぜなら、Genghisの登場以前は、歩行ロボットの開発には、スーパーコンピュータが必要とされていました。しかし、Genghisは飛行機用サーボから作られています。頭脳は8ビットマイクロプロセッサと、256バイトのRAMで構成されていました。キロバイトではなく、バイトです。
8ビットマイクロプロセッサで多数の小さなプロセスを実行できたのは、見事なまでに効率的なコードとマルチスレッドOSのおかげでした。Genghisの制御方法は、昆虫からヒントを得ています。
昆虫はとてもうまくできている生き物です。極めて小さな脳しか備わっていないにもかかわらず、複雑な環境の中を動き回ることができます。驚くべき仕組みです。
そこで、人型のロボットではなく、昆虫型のロボットを作るにはどうしたらいいか、とわれわれは考えました。そして、昆虫の知能を作り上げる戦略を生み出しました。われわれは当時、この知能を「サブサンプション・アーキテクチャ(包摂アーキテクチャ)」と呼んでいました。このアーキテクチャでは、1つのプロセスが別のプロセスを包摂することが可能で、多数の小さなプロセスを利用します。これらのプロセスを組み合わせることで、単独のプロセスではできない新たな行動を可能にします。これはとても頑丈なロボットの性質です。
この小型のクールなロボットGenghisは、起伏の多い地形をよじ登ることができました。巨大な岩を乗り越えるときもバランスを保ちましたし、ほかの歩行ロボットでは決して不可能なことも実行できました。
——つまり、Genghisには環境を認識して、計画を立てる能力があったということですか。
Angle氏:Genghisはこれといったモデルは持たず、環境を想像する能力も備わっていませんでした。ここに足を出した後、そこに足を出すべきだ、とGenghisは考えます。足の動かし方や体重の支え方、体重が十分に支えられている場合に前に進む方法については戦略を持っています。前に進めない場合は、後退して、別の経路を探します。
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