「ルンバ」が家族の一員になるまで--CEOが紆余曲折の歩みを語る - (page 2)

Colin Barker (ZDNet UK) 翻訳校正: 川村インターナショナル2018年06月27日 07時30分

 Genghisに高度な計画を立てる能力はありませんでしたが、環境に対応する能力は優れていました。この種の知能は現在では行動制御と呼ばれており、ほとんどのロボット工学の中心的要素となっています。

 Genghisはロボット工学のコミュニティーで非常に有名になりました。私が大学院に進学する助けにもなりました。Genghisは現在、ワシントンD.C.のスミソニアン国立航空宇宙博物館に収蔵されています。

 自分たちがこれから何をやるのか分からない状態でiRobotを設立しましたが、われわれには、ロボットをすぐに実現するための道具はそろっていました。そして、われわれは、iRobotでロボットの未来を作り出したいと考えたのです。

提供:Colin Barker
Colin Angle氏
提供:Colin Barker

 iRobotの最初のビジネスモデルは、実用的とは全く思えないものでした。われわれは月を探索するロボットを開発することに決めました。民間ミッションで月へ行く計画でしたが、映画制作権を販売することで、そのための資金を調達するつもりでした。驚いたことに、このビジネスモデルはかなりのところまで進展しました。当社の取締役会には映画「ブルース・ブラザース」のプロデューサーがいましたし、米航空宇宙局(NASA)とも関係を築いて、われわれの収集するデータを買ってもらうことになっていました。とても小さなロケットで月に運べるように、マイクロロボットを設計したのです。

 結局、NASAは最終的に手を引きましたが、われわれが手がけたテクノロジは、火星探査機の「Sojourner」ロボットに直接つながりました。こうして、私の名前が火星に届き、iRobotが最初の一歩を踏み出したのです。

 ほどなくして、われわれはロボットで未来を作り出す方法を見つけるため、10の各種市場向けに10種類以上の製品に取り組むようになりました。

——その次のステップは何だったのですか。

 Angle氏:ロボット掃除機のアイデアです。それには、大きなひらめきが必要でした。なぜなら、ロボット掃除機は、皆が私に求めていたことだったからです。私がiRobotのColin Angleだと自己紹介すると、相手の人は、初めましてと言う代わりに、「床を掃除するロボットをいつ開発してくれるの?」と返すのです。かなりおかしな状況でしたね。

 自分が話をしている相手はロボットの専門家だ。彼は私のために何をしてくれるのだろうか。人々はそう考えたのでしょう。ロボットは生活をどのように改善してくれるのだろうか、ということに人々は大きな関心を持っていたのだと思います。

 その当時、テレビで「宇宙家族ジェットソン」というアニメが放送されていました。ジェットソン家には、「ロジー」というメイドロボットがいました。あなたはロボット専門家のようだが、いつ家の床を掃除してくれるロボットができるのか、と私はいつも言われていました。

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