目標が、Googleアシスタントを「擬人化されたGoogle」にすることであるなら、Googleアシスタントはまだまだ大きな進化を遂げる必要がある。
これまでのところ、Googleアシスタントは(正直に言って、AlexaとSiri、Cortanaも)期待に応えられているとは言い難い。
「われわれはまだこの技術を進化させているところだ。完成に向けて実際に努力を続けている」とPichai氏はGoogle I/Oの基調講演で述べた。同氏は電話が予想通りにはいかない例として、別の電話予約の会話も紹介した。この電話では予約ができなかったが、アシスタントは予約をせずに店に行った場合の待ち時間を確認するなどして、会話をうまく運ぶことができた。「Googleアシスタントは文脈やニュアンスを理解している」とPichai氏は述べた。
GoogleがDuplex技術をGoogle Homeやほかの消費者向け製品に拡大することを決心したら、そうした状況は変わる可能性がある。筆者が聞いたGoogle Duplexによる短い会話から受けた印象では、それは、オフィスで事務を補助するアシスタントと話しているような、あるいは、もっと言えば、Spike Jonze監督の映画「her/世界でひとつの彼女」に登場するOSの「サマンサ」と話しているような感覚になるのかもしれない。
もちろん、Googleはアシスタント市場を最初に開拓した企業ではない。Amazonは2014年、「Alexa」ソフトウェアによって声を与えられた「Echo」スマートスピーカを突如リリースして、世界を驚かせた。現在のところ、デジタルアシスタントを対話操作する手段として最もよく知られているのは、依然としてスマートスピーカだ。調査会社のCIRPによると、Amazonは米国において、この市場で69%のシェアを保持している。2016年にリリースされたGoogle Homeのシェアは31%だという。
GoogleとAmazonはいずれも自社の製品ラインアップを強化している。2017年、Googleは39ドル(税込6480円)の「Google Home Mini」と、ハイエンドのオーディオ機能を備える399ドル(約4万4000円、日本未発売)の「Google Home Max」を発表した。Amazonは39.99ドル~229.99ドル(約6000円~約2万5000円)の価格帯で10種類のEcho製品を提供している。Appleも2018年2月、349ドル(約3万8000円、日本未発売)の「HomePod」を発売してこの戦いに加わった。
デジタルアシスタントがモノのインターネット(IoT)と接続して、自動車のダッシュボードから洗濯機、照明のスイッチまで、あらゆるものを制御できるようになれば、より大きな利益を得られる可能性がある。Gartnerによると、人々は2020年までにIoTに約3兆ドルを費やすようになるという。
Googleが必死で追いつこうとしているのはそのためだ。同社はGoogle I/Oで、Googleアシスタント搭載デバイス(スピーカやスマートフォン、テレビを含む)の世界出荷台数が5億台に達したことを明かした。さらに、Googleアシスタントが30カ国語に対応し、2018年中に80カ国で利用可能になることにも言及した。それらの国々には、新たに追加されたデンマーク、韓国、メキシコ、オランダ、ノルウェー、スペイン、スウェーデンの7カ国が含まれる。AmazonのEchoも80カ国以上で利用できる。
さらに、Googleは同社のアシスタントが5000種類の家庭用コネクテッドデバイスと連携することを明かした。1月の時点では1500種類だった。これは進歩だが、まだAlexa対応デバイス(1万2000種類)の半分にも達していない。
GoogleのFox氏は、Amazonとの競合関係について、それほど重視していないようだ。
「(Amazonとの)競争に関しては、あまり重く考えていない。こうしたデバイスをまだ何も使っていない人々に、より大きなチャンスがあると思う」(Fox氏)
とはいえ、両社ともスマートホーム市場で相手の売り上げを負かそうと、容赦のない手段を講じている。Googleは1月、Amazon Echoと「Fire TV」から、Google傘下のYouTubeにアクセスできないようにした。AmazonはGoogleとNest(Googleが2014年に買収したスマートホームメーカー)の一部製品の販売を停止している。
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