女子高生が下着姿をSNSで送信--子どもの“自画撮り被害”を防ぐドコモの取り組み - (page 2)

子どもにスマホを持たせるのが当たり前の時代、どう安全利用を促すか

――青少年のスマートフォンの健全利用に向けた取り組みのひとつとしては、フィルタリングサービスが挙げられると思います。2月には法律改正があり、未成年者にスマートフォンを販売する際には販売店でのフィルタリングサービスの設定が義務化されています。

合田氏 : この法改正の背景には、神奈川県座間市で高校生を含む9名が犠牲になった殺人事件があります。事件を受けて、青少年向けのフィルタリングを強化しようという方針が内閣府・総務省を通じて打ち出され、それを受けてわれわれ携帯電話会社も、今まで以上にフィルタリングサービスの提供を徹底していこうとしているところです。

――こうした携帯電話を巡る青少年のトラブルは、SNSや有害なサイトを端緒とすることが多いですが、フィルタリングサービスではどのように対処しているのでしょうか。

合田氏 : フィルタリングサービスにはレベル設定できる機能があり、すべてではありませんがSNSの利用をブロックする機能もあります。有害なサイトや利用を制限したいアプリについては、第三者機関の評価情報をフィルタリングサービスに適用しています。

 とはいえ、自画撮り被害の場合はSNSを通じて“友だちの友だち”といったソーシャルグラフに入り込んだ犯人が、子どもに声をかけるケースが多く、フィルタリングサービスだけではカバーできない側面があるのも事実です。そういった課題に対しては、子どもたち自身やその保護者や学校関係者がネット上のリスクをしっかりと学んでいくことが大事だと考えています。


フィルタリングサービスに関して説明する合田氏

――その学びの機会という面では、ドコモは「スマホ・ケータイ安全教室」を2004年から開催しています。これまでどのような取り組みを行ってきたのでしょうか。

菅野氏 : スマートフォンは正しく使っていただければ子どもにとっても便利で楽しいツールですが、間違った使い方をすると犯罪やトラブルに巻き込まれたり、いじめにつながったりするリスクが生まれてしまいます。スマホ・ケータイ安全教室では、そうしたリスクを未然に防ぐにはどういう点に気をつける必要があるのかを、学校に講師を派遣してお伝えしています。

 2004年に始めた当初は、“子どもに携帯電話を持たせるなんて”という風潮がまだ強かったのですが、今では保護者も学校関係者も“持たせない”ことは現実的ではないと考えてくださっています。そうした中で、正しい使い方を子どもたちに身に付けさせたいという関心が高まっているのではないでしょうか。これまで、スマホ・ケータイ安全教室の累計開催数は7万900回、1068万人の方に受講いただきましたが、2017年度は年間約8000回、受講者数は130万人を超えるほどになりました。

 内容については、学齢によって変えています。最近では小学校高学年の子どももスマートフォンを持つようになってきていますが、授業を受ける子どもの中にはまだ携帯電話を持っていない子もいますので、持っている/持っていないに関係なく内容を理解できるよう、スマートフォンや携帯電話の正しい使い方、ルールやマナーなどを中心に話しています。

 カリキュラムは、小学校高学年向けに基本的なルールやマナーをまとめた「入門編」、中学生・高校生向けにコミュニケーショントラブルや自画撮り写真の送付を含む個人情報の公開などに関するリスクをまとめた「応用編」、そして子どもたちを守るために大人がどうすればいいのかをまとめた「保護者・教員向け編」に分かれていて、ドコモのウェブサイトでも公開しています。特に自画撮り被害については、東京都の条例改正を受けて、個人情報や個人を特定するヒントになる情報発信には充分に注意をするよう力を入れているところです。


ドコモが実施しているスマホ・ケータイ安全教室のテキストや資料

――自画撮り被害が生まれてしまう背景には、子どもたちが自分の姿やプライバシーをネット上に発信してしまうことに対する抵抗がない=それがリスクを孕んでいることを知らないということが挙げられるのではないでしょうか。そういう意味では、まず知ってもらうということは大事なことだと感じます。

菅野氏 : そうですね。本人特定性の高い情報ってどういうものがあるのか。たとえば、自分の顔を写した写真の背景に住所が書かれた電柱が一緒に写っていたら、それが自分自身の居場所を知らせてしまうというリスクだと、子どもたちは気付かないわけです。大人では絶対にやらないようなことでも、子どもたちが気軽にしてしまうのは、それがリスクをともなうことだということを知らないからというのが大きな要因になっているのではないかと思います。

 そのリスクも年々変化するものですので、スマホ・ケータイ安全教室の教材や指導内容は毎年改訂して、具体的な事件・トラブルの事例を盛り込んでいます。また、警察とコラボレーションして開催する場合には、学校の近隣地域で実際に起きたトラブルや事件の具体的な事例を紹介したりすることで、ネット上のリスクを身近なものとして捉えてもらうようにしています。

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