「ACT2ではなく、レクイエムッ!」--ジョジョスマホ「JOJO L-02K」開発陣に2万5000字インタビュー - (page 7)

津田氏 : そうですね、今はそういった写真が簡単に撮れることが当たり前になっているので、そこにはなるべく応えたかったという気持ちがあります。あと、やっぱり僕らは原作の構図を意識しながら、「このスタンドだとこういうレイアウトで撮りたい」と考えると思うのですが、それを毎回自分でやろうとするとなかなか大変で、だんだん手が遠のいていってしまいます。そこを顔認識によるAR技術によってある程度自動化することで、利用者が難しいことを考えなくても、いいサイズだったり向きに合わせて撮れるようにしています。そこはジョジョスマホならではだと思います。

——確かに、この機能は飲み会などでも盛り上がりそうですが、そこで細かい調整をしたりしていると白けてしまうので、顔認識でスタンドの位置まで自動調整してくれるのは嬉しいですね。

津田氏 : LINEなどもそうですけど、瞬間的なビジュアルによるインタラクションというのも今のコミニケーションサービスの主流かなという感覚があるので、どんどん使っていただくために改善したということですね。

鹿島氏 : やっぱりベースにあるのは「コミニケーションを円滑」になんですよね。カメラ機能は今後もバージョンアップしていきます。

“ミュートボタン”を搭載した音楽プレーヤー

——停止や早送りなどの操作に合わせてスタンドが現れる音楽プレーヤー「JOJOプレーヤー」も、前モデルに搭載されていた特徴的なアプリの1つですよね。

津田氏 : 基本的にはスタイリッシュな音楽プレーヤーで、今回もボタンの内容に合わせた、歴代のジョジョやラスボスたちのスタンドが画面上に現れます。たとえば、停止操作では「スタープラチナ・ザ・ワールド」(第3部・空条承太郎のスタンドであるスタープラチナが使う時を止める能力)、曲を戻すボタンでは時を巻き戻す「バイツァ・ダスト」(第4部・吉良吉影のスタンドであるキラークイーンの第3の爆弾)が発動します。これらのスタンドは、ホーム画面上のJOJOプレーヤーのウィジェットでも同じように現れます。

鹿島氏 : 今回はキャラクターを増やしたかったんですよね。なるべく多くのキャラクターに登場してもらいたかった。前回はラスボスだけだったんですけれども、時を操るキャラクターは主人公側にもいるのでそういったところを膨らませた感じです。

 それと、スタンドごとに複数パターンのイラストを用意しているんですよ。早送り、巻き戻しは長押しをすることもできて、それぞれ押すたびにどんどんイラストが変わります。繰り返し同じ操作をするのでそこで飽きがこないように、同じ操作でも違う表現をしたりとかバリエーションを持たせたいという思いがありました。なので同じ一時停止でも、「ザ・ワールド」(第3部・DIOのスタンド)と「スタープラチナ」のどちらが出てくるのか、そういうところも楽しんでもらえたらなと思いますね。先ほどもお話ししたミュートボタンは、“音を奪う”というソフト・アンド・ウェットの演出をしたいだけのボタンです(笑)。


ソフト・アンド・ウェットを表現するために特別に設けたミュートボタン

津田氏 : あとは、ストーン・フリーをどこかに入れようとしていたのですが、相当迷って最終的にfavorite(お気に入り)のボタンにしました。

鹿島氏 : ストフリは迷いましたね~。最初は、メビウスの輪だからリピートにしようかとかシャッフルにならないかとか、いろいろ苦戦して。


favoriteボタンにはストーン・フリー

津田氏 : ちょっと難しいかもねと諦めかけたころに、「favoriteボタンが星マークだよ!決着ゥゥゥーーッ!」(第6部・空条徐倫のセリフ)って感じでした(笑)。

スタンド使い同士が引かれ合う「SBRトラッカー」

——favoriteボタンの選定にあたっては、ウエストウッド戦のような苦戦を強いられたわけですね(笑)。続いて、個人的に1番気になっているアプリが、同じ端末同士がすれ違うとアクションが起こるという歩数計アプリ「SBRトラッカー」です。

津田氏 : 実際に歩いた歩数に応じて、第7部の「STEEL BALL RUNレース」のコースを仮想的に踏破できる歩数計連動アプリで、レースと同じ約6400キロを、作品と同じ116日間の期間中にゴールすることを目指します。そして、Bluetooth通信ですれ違った相手との走行距離の差によって勝ち負けが表示されるというものです。


歩数計アプリ「SBRトラッカー」

 先ほどお話ししたように、“スタンド使い同士は引かれ合う”というジョジョの設定を再現したものですが、もともとは電車に乗っている時に、向かいの席にジョジョスマホを使っている人が座っていたことがあって、何とか持っている人同士でコミュニケーションができないかと考えたことがきっかけです。ただ、だからといって出会い系のアプリを作るわけにもいかないし、どうやったら利用者に必要な形で、かつやりこんでもらえるかを検討していた時に、それとは別にスティール・ボール・ランのトラッカーアプリを作っていたので、そこがうまく融合して、利用者同士がすれ違った時にレース中のデッドヒートが起きるような仕組みになりました。

 キャラクターは「ポコロコ」「ディエゴ・ブランドー」「ホット・パンツ」「ジョニィ・ジョースター」「マウンテン・ティム」「ジャイロ・ツェペリ」「サンドマン」の7人から選ぶことができます。最初はもう少しコンパクトに、主要キャラとか最終レースに進んだキャラを中心に考えていたんですけど、監修をいただく中で、キャラクターを増やせないかということになりました。明確にこういう理由でキャラクターを増やしてほしいと言われたわけではないんですけれども、われわれの受け止め方としては、やっぱりスティール・ボール・ランはジョニィとジャイロだけが主人公ではなくて、レースの参加者それぞれにストーリーがあって帰るべき家がある。そういうところを大切にしようということになり、キャラクターを充実させることにしました。これは増やしてから改めて気づいたんですけども、毎日歩く歩数計と連動するアプリなので、自分を投影するものとしてやはりキャラクターのバリエーションは多くして良かったなと思いますね。


目標に応じて7人のキャラクターから選べる

鹿島氏 : ちなみに、大統領やルーシーは選手じゃないので、レースでは選べませんということですね。

津田氏 : キャラクターによってアプリ上で換算する一歩あたりの距離が変わります。たとえば、ポコロコなんかはラッキーキャラなので簡単に目標をクリアできるんですが、逆にサンドマンみたいなキャラはガチで6400キロ歩いてくださいみたいな感じです。「ザ・ラン」(岸辺露伴が主人公の短編漫画シリーズ「岸辺露伴は動かない」のエピソード10)並に走らないと無理ですね(笑)。歩いた距離に応じてステージが変わっていき、各ステージに差しかかるとイベントも発生します。画面に張り付かないといけないような一般的なゲームとは違って、普通に歩いていればゲームが進むので、1日1回見ていただければ楽しめるようなものになっています。

鹿島氏 : 歩数はホーム画面のウィジェットからも確認できます。キャラの表情も歩いているペースによって変わってくるんですよ。ジャイロとかやばい顔があるよね(笑)。

津田氏 : たとえば、原画展などではジョジョスマホ所有者も多いと思うので、「今日はやたらとマウンテン・ティムとすれ違うな」みたいな楽しみ方もできると思います。またそういった偶発的なコミュニケーションに加えて、自分の走行距離をFacebookやTwitterなどのSNSで発信して応援してもらえる、オンライン上のコミュニケーションも楽しめます。

いくつ見つけられる?散りばめられたジョジョ要素

——それぞれのメイン機能について聞いてきましたが、そのほかのサブ機能やアイコンのデザインなども、細部に至るまでジョジョ仕様になっているんですよね。

鹿島氏 : そうですね。たんまり......いや、“たっぷり!”(第8部・東方定助のセリフ)ありますよ。たとえばスリープ中でも画面上にステータスを表示できる「Always on Display」。この機能は地味に便利で、ロック解除をしなくても時計などが見られるんですが、ここにお好みでジョジョのエンブレムやイラストを表示できるようにしました。種類でいうと40パターンくらい用意しています。当初の企画にはなかったのですが、ベースがV30+に決まった後に追加しました。この端末のスペックだからこそできた機能です。


スリープ中でもステータスとジョジョのイラストを表示できる

指紋認証の設定に登場する田最環

 顔認証や指紋認証の設定にもジョジョキャラを登場させています。指紋認証はもちろん、僕の大好きな田最環(第8部の敵キャラクター)です(笑)。あとロック解除の際には、ソフト・アンド・ウェットのシャボン玉の演出を入れました。

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