2月27〜28日の2日間に渡って開催されたイベント「CNET Japan Live 2018 -AI時代の新ビジネスコミュニケーション-」。2日目には、AIを用いた英会話学習アプリ「テラトーク」に関するパネルディスカッションが開催された。同アプリを実際に活用している英会話スクールと高校の関係者、開発元であるジョイズ代表取締役CEOの柿原祥之氏が登壇。英語学習とAIのタッグがもたらす可能性について語り合った。
テラトークは、スマートフォンやタブレットで利用できる英会話学習アプリ。聞き流し・リスニング・ドリル・会話の4段階で学習できる構成となっていて、面接試験対策などもサポートする。
AIは、学習者の発話の流暢さなどを判定する技術として導入されている。また発音練習の結果から不得意な部分を検出し、それに合わせた問題を自動構成するといった機能でもAIが用いられている。スピーキング学習機能も充実。実際の発音内容は録音され、これをAIが評点する。発音の評価は、講師のフィーリングに左右される部分が少なからずあるが、そのゆらぎを排除できるという。
テラトークは個人でも利用できるが、多様な法人向けプランを用意する点が強み。また、導入企業の業種・職種に応じて、たとえばコンビニ向け、公認会計士向けといった具合に課題設定をカスタマイズできる。
英会話スクールを仙台・銀座・新宿で展開するステージラインは、このテラトークを法人として導入している企業だ。スクールに通ってくる生徒にテラトークを使ってもらい、講師陣がそれを管理・監督する。
同社の専務取締役である山崎奈緒氏は、テラトーク導入のきっかけは、長期受講者向けのサポート向上だったと明かす。「弊社は30年前に仙台でスクールを開設したが、10年以上通っている受講者が全体の2〜3割を占めている。これらの方は読み書きが上達しているが、会話となると、恥ずかしさからか、特に日本人の前で(英語を)話したがらないという課題があった」(山崎氏)。
これを克服するには、英会話に特化したクラスを用意する以外に、受講者がもっと気軽に英語をアウトプットできる環境作りが必要ではないかと判断。さまざまなソリューションを比較検討する中で、スピーキング学習が得意なテラトークを選択した。
また、テラトークは自宅などスクール以外の場所でも利用できる。近年、企業の英会話研修をステージラインが受託するケースも増えているが、たとえば20人が1週間に1度集まって学習する場合、参加者の英語レベルのバラつきが大きく、学習効率が悪いケースもある。そういった場合にもテラトークがあれば、英語をアウトプットする機会が教室以外にも広がると期待する。
日本体育大学柏高等学校では2017年夏から、同校の留学プログラムの一環で約450名の生徒がテラトークを利用している。ICT教育推進室室長の酒巻圭一氏は現在の高校英語教育の課題として、「聞く、話す、読む、書く」の4技能化への対応を挙げる(編注:大学入試改革の一環で、2020年からはこの4技能を評価するため、英検などの外部検定が活用される)。
このうち「話す」の学習については、特に課題が多かった。1クラス40名を20名ずつのグループに分け、それを教員とALT(外国語指導助手)の2名が指導するが、50分の授業では発話できる回数はどうしても少なくなってしまう。そこでテラトークを導入に至ったという。同校では英検対策でもテラトークが利用されている。試験直前指導を行う教師の仕事量を削減する効果があったほか、合格率も向上したという。
一方、学校の教室ならではの課題もあるようだ。「生徒を見ていると、当初は(テラトークをインストールした)タブレットに話しかけるのにやや抵抗があったようだ。周りで誰が最初に話し出すのか、様子をうかがっている雰囲気があったので、たとえばインカムの利用なども検討している」(酒巻氏)。
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