テラトークを導入した企業・団体からのヒアリングでは、「カスタマイズ対応」を評価する声が非常に多かった。開発元であるジョイズ代表取締役CEOの柿原祥之氏によれば、テラトークそのものの初期開発コンセプトは「さまざまなシーンでの会話をリアルに再現する」こと。業種・職種によって求められる英語が異なることを見越して、柔軟な問題・課題設定ができるようになっており、カスタマイズ性の高さはその帰着だと説明する。
「技術面では、『なぜ言葉が伝わっていないか』をフィードバックできるようにした。外国語で一般の方に話しかけたとき、伝わらなければ相手がしかめっ面になって、その後の会話が続かなくなる。ただ、その話しかけた相手が外国語講師なら、『○○が悪いから伝わらないんだよ』『どの教材を使えば練習になるよ』とアドバイスしてくれる。テラトークはその講師の役割にフォーカスし、逆に生徒側は自由に話せるようになっている。これがカスタマイズの自由度につながっている」(柿原氏)。
ジョイズでは利用者の要望を受け、記者向けやエンジニア向けといったコースをこれまでも作成してきた。近年は、訪日観光客の増加を受け、飲食店などのサービス業向けコースのニーズが高まっているという。
同様に、学校教育現場でも今後は英語対応が重要となってくる。ジョイズの学習コース作成には、これまでも英会話スクールや大学の元教師らが携わってきたが、そこから一歩踏み込み、中学校・高校の元教師らも近年採用している。「中学校・高校は(英会話スクールなどと比べて)クラスの人数が多く、教える相手は10代。その関係性を踏まえて、演出も少し変えたほうがいい。現場の感覚が必要だ」(柿原氏)。
今後の方針について、ステージラインの山崎氏は次のように語った。「英会話スクールは、どうしても教室に来なければ学習できなかった。引越し・転勤をする方はスクールから離れざるを得ないが、テラトークならば遠方の生徒にも指導できる。このメリットは会社研修にも活きてくる」(山崎氏)。
日本体育大学柏高等学校の酒巻氏は、テラトークによるさらなる学習効果向上を目指すという。「英単語を覚えるとして、少なからず生徒は“単なる文字列”とだけ認識し、発音と結びつけられていないケースがある。そこをテラトークの機能でいかに改善できるか」(酒巻氏)。
柿原氏は、テラトークを「現場(の教師)が自信を持って使えるツール」に育てることを目標とする。最新技術を駆使したテラトークのようなツールは、教育現場の教師にとっては未知の存在であることが多く、どうしても恐る恐る使うことになってしまう。そういったストレスを感じさせないよう、従来の授業スタイルを極力そのまま活かせるような製品作りに取り組んでいくとした。
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