――この考え方は、まさしく不動産業界にもそのままあてはまりそうです。具体的にはどんなマーケティングを行っているのですか。
ZUU onlineには投資、マーケット、マネー、不動産、経済・ビジネス、時間、キャリア、ライフの8つのカテゴリを設けて、コラム形式のコンテンツを提供しています。重視しているのはわかりやすさで、これらのコラムを通じて徐々に資産運用などに関する興味、関心を高め、読んでいるうちにいつの間にか知識が身につくことを目的にしています。
株の銘柄推奨のような具体的な投資先をおすすめしているのではなく、ユーザー自身がそもそもの資産運用についての考え方を理解し、自分にとって必要な投資分野を見つけてもらいたいと思っています。
さらに、DMP(Data management Platform)やアクセス解析ツールなどを組み合わせて、リアルタイムでZUU onlineを見に来ているユーザーが何人いて、どの記事を読んでいるということはもちろん、どのようなニーズがあるのか、またどの検索エンジン、OS、ブラウザを使っているのかまで把握し、興味関心データとして蓄積しています。
例えば、この記事とこの記事を読んだ人は、証券会社の口座を開く可能性が高いことが過去のデータからわかっていれば、同様のページ推移をした人の「この記事もおすすめ」の中に口座開設の記事を表示できます。こうしてニーズの高まったユーザーを金融機関のホームページに誘導する仕掛けなども提供しています。
営業担当者であれば、お客様と話す内容や流れによる勝ち筋みたいなものがあって、それをノウハウとしてもっていらっしゃる方も多いと思いますが、ZUU onlineでは、ユーザーの閲読履歴の勝ち筋をノウハウとして蓄積しているのです。
――サイト内での履歴がそのままマーケティングになっているんですね。
一方で、金融機関と連携して専用サイトも運営しています。「確定拠出年金スタートクラブ」はりそな銀行と組んだ、確定拠出年金の情報をまとめたウェブサイトですが、この制作はすべてZUU onlineが担当。確定拠出年金について解説するとともに、ウェブページ内では、性別、年齢、職業などの属性を入力していただくことで、節税金額がわかるシミュレーション機能も提供しています。
結果はメールアドレスに送付するので、メールアドレスも入力していただきます。これにより、確定拠出年金に興味のあるユーザー属性とメールアドレスを取得できています。
この仕組みの良い点は、職業や年齢からターゲットをセグメントできること。例えば、今までは取得したメールアドレスすべてに同じ内容のダイレクトメールを送っていましたが、この情報があれば「主婦向けの確定拠出年金セミナー」を主婦の方だけに送ることができます。
――かなりのコスト削減にもつながりますね。
そうですね。このサイト運営には金融機関の方は数名参加していただく程度ですから、人的リソースも抑えられます。今までは多くの営業担当者を要して確定拠出年金に興味のあるお客様を探し出し、何度かの面談を経た上で顧客化を図っていたわけですが、その部分のマーケティングをウェブサイトが肩代わりしてくれるわけです。
――この内容だと、例えばそのほかの金融機関など同業他社の方と組むのは難しくないですか。
金融機関ごとにターゲットは異なりますし、企業のカラーも違います。私たちとしても担当するチームやメンバーを替えてサービスを提供していますので、そういった難しさは感じていません。
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