オーナー目線で不動産業界を変える--ダイヤモンドメディアの世界を見据えた挑戦

 ダイヤモンドメディアは、システム開発やマーケティングコンサルタントなどから、不動産テック企業へと転身した異色の経歴を持つ。現在設立11年目。6~7年前に不動産サービスへと事業内容をシフトし、今では3つのサービスを大手不動産仲介や管理会社などに提供している。

 「すべてのサービスに言えるのは、オーナーに主軸を置いていること」と話す、ダイヤモンドメディア代表取締役の武井浩三氏に、オーナー目線での不動産テックとは何か、高付加価値、高単価を実践するサービス内容はどんなきっかけで生み出されているのかを聞いた。


ダイヤモンドメディア代表取締役の武井浩三氏

営業ではなく「カスタマーサクセスチーム」を持つ理由

――不動産テック企業に転身したきっかけを教えてください。

 元々マーケティング関連の仕事が多く、不動産仲介会社の集客に強いホームページを作ったことがきっかけです。当時、検索エンジンを使って集客する手法が広がりつつあって、検索エンジンにとにかく強いシステムを作ろうと。結果、導入いただいた会社では月間400件の問い合わせが来るなど、大きな反響がありました。

 その時に、不動産会社は物件データというすごいコンテンツを持っていることに気づき、それを資産と捉えて、最大限に活用しようと作ったのが不動産サイト制作サービス「ダイヤモンドテール」です。

――現在200社以上が導入しているとのことですが、今までの不動産会社のホームページとは何が違うのでしょう。

 1社ずつコンサルティングをしながら構築していくところだと思います。システムを入れるだけで結果が出るわけではなくて、マーケティングが必要です。商圏はどこがいいのか、あえてエリアを絞る戦略は効果的か、価格帯を絞ったほうがいいのかなど、物件の価値をどれだけ高められるかを見極めながら、二人三脚で作っていく感じですね。

 ですから料金も月額ではなくて、システム利用料、初期費用、コンサルティング、メンテナンスといった形で設定しています。ホームページを作って終わりではなくて、全方位的なおつきあいをさせていただいています。


不動産サイト制作サービス「ダイヤモンドテール」

――集客が上がるとは言え、不動産業界にITの仕組みを広げていくのは大変だったのではないでしょうか。

 当初は、私たちが提供するシステムがどんな不動産会社と相性がいいのかわからず、さんざん苦労しました(笑)。とにかく数をこなして、その中で成果が出るケースと数字が現れにくいケースの事例を積み上げることで、販売の仕方を身に着けました。1つ指標になったのは「結果を出してくれる会社はどういう会社なのか」を見極めること。

 不動産テックのシステムは、マーケティングと業務効率改善の用途の大きく2つがあって、業務効率改善のシステムは広がりやすいんです。「今まで何時間もかかっていた作業が何分で終わります」などであればセールストークも伝わりやすいですし、結果も出やすい。一方、私たちが提供するマーケティング用途のものは、お客様にもきちんと使っていただけないと価値を生み出せない場合もありますし、そもそも導入自体にハードルを感じられるケースもあります。

 そこで「カスタマーサクセスチーム」を作り、お客様に導入前から寄り添う体制を整えました。このようにお客様自身が活用してくださることで成果が出てくるビジネスはどうしても担当者のリソースを必要とするため、ある程度のマーケット規模を持つ企業に向いているという傾向も見出せたので、ターゲットを大手に絞ってセグメントを切り直しました。

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