Appleの「HomePod」(米国価格は349ドル。米国と英国、オーストラリアでは2月9日発売で、現在予約を受付中)の試聴イベントが終わりに近づいた頃、同社の担当者が、発売時には利用できないちょっとした機能を体験させてくれた。HomePodを2台つないでステレオ再生するのだ。このときは、ポルトガル・ザ・マンの「Feel It Still」が流れた。
素晴らしい音質だった。2台で約700ドル(約7万6000円)の価値はある。
このときまでは、1台のHomePodを大きさの違ういろいろな部屋で試聴していた。Apple初のスマートスピーカであるHomePodは、同社の音声アシスタント「Siri」の新しい拠点となり、天気予報を聞いたり、各種「HomeKit」対応デバイスの制御に使ったりできる。しかし、スマートホーム市場ではAmazonとGoogleが1年以上前から先行しており、すでに数百万台以上という出荷実績がある。Appleはその土俵で巻き返しを図ろうとしているが、注力しているのはHomePodが当初からうたっている、音楽機能と音質だ。
Appleはあえて、同社が考える理想的なサイズのワイヤレススピーカを作った。台所やバスルームなど、家じゅうどこにでも置けるくらいコンパクトでありながら、Siriが遠くの声も聞き取れるように6個のマイクを搭載している。また、4インチの「ハイエクスカーション」ウーファーと、基部には7個の「ビームフォーミング」ツイーターを備える。音を適切な方向に分散させて、小型ワイヤレススピーカにつきものの、左右チャネルの分離が不足するという問題を克服しようという狙いだ。
「iPhone 6」と同じくAppleの「A8」プロセッサを頭脳とし、高度なソフトウェアも採用されている。6個のマイクと連動してHomePodに「空間認識」の機能をもたらし、置かれている部屋のサイズと形状を認識して最適な音を流してくれる。ユーザーが室内のどこに立っていても、あるいは座っていても、良好に聞こえる音を再生するという。HomePodはスピーカフォンとしても優秀だが、この点はあまりセールスポイントとしてうたわれていない。
それから、本体にマイクのミュートボタンはないが、Amazonの「Echo」と同じように、プライバシーのために音声認識をオフにしたいときにはいつでも、Siriに動作を止めるよう命じることができる。
要点を言うと、HomePodは小型Wi-Fiスピーカとしては、かなり優秀だと思う。筆者は今回のレビューで初めて目にしたため、実際にどのくらいの大きさなのかがこれまで定かではなかった。高さは6.8インチ(約17.2cm)なので、「Alexa」対応の「Sonos One」(高さ6.36インチ:約16.1cm)よりわずかに高く、若干ずんぐりしている。
この1月より前に、HomePodのオーディオ機能が公開されたのは、2017年6月の年次開発者会議「WWDC」で発表された当日、報道陣向けに行われた試聴会だけだった。このときは、試作段階のHomePodが、第1世代のAmazon Echoおよび「Sonos Play:3」と比較された。今回は、最終版のHomePodハードウェアを、新しい競合製品と比べている。99.99ドル(税込1万1980円)の第2世代Echoと、399ドル(約4万3000円)の「Google Home Max」である。
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