Appleが製品の比較テストを公開するのは異例なことであり、比較デモを実施したのは称賛に値する。ただし、しかるべき製品がこの比較には加えられていない。例えば、JBLの「Link 300」と「Link 500」(ともに「Googleアシスタント」が組み込まれている)や、Boseの「SoundLink Revolve」スピーカ(「Echo Dot」と組み合わせるとAlexa対応になる)などだ。
デモで分かったのは、HomePodがこのサイズにしては大音量を再生できるということと、Sonos Oneより低音が少し良く、サウンド全体もわずかに鮮明ということだ。改良版の新しいEchoと比べても差は圧倒的で、Echoは音がこもり、調子外れに聞こえた。とはいえ、Echoの価格を考えれば、これは当然のことだろう。筆者の直感で言うと、大型のGoogle Home Maxと比べてもHomePodの音は自然で、音色が豊かだった。
誤解がないように言っておくと、このデモは、慎重に曲を選び音量を固定した管理環境で行われた。試聴したのは、レディオヘッドの「Fake Plastic Trees」、Zero 7の「In the Waiting Line」、イーグルスの「Hotel California」などだった。オーディオファンは喜ぶだろうが、筆者はもう一度同じ曲を聞こうとは思わない。
試聴に使った部屋は、HomePodのようなスピーカの評価に理想的とは言えないのではないかと、筆者はデモの間ずっと感じていた。天井が高すぎたし、なかには広すぎる部屋もあった。HomePodが本当に大型スピーカであるかのように感じることもあったが、何回かボリュームが上げられただけだった。低音が強烈なアリアナ・グランデの曲のときに、デモの主催者がボリュームを90%まで上げたが、それでも音が割れるようなことはなかった。たいていは、65%以下のボリュームで試聴したが、音量を下げても低音は申し分なかった。
HomePodはどんなジャンルの音楽でもいい音で再生されるように設計されていて(ディズニーの「アナと雪の女王」の楽曲も試聴した)、イコライザの設定をいじる必要がない点は気に入っている。このくらいコンパクトなスピーカを扱うときには、どんな曲でもスムーズに流れ、音が割れないように、できるだけソフトウェアで処理する必要がある。
この手のワイヤレススピーカをレビューするときには、曲ごとにパフォーマンスが変わる場合がある。専用のレビュー用サンプルが入手できれば、よく知っている好みの曲で性能を確かめられるだろう。
音声でコントロールできる音楽サービスは「Apple Music」だけ、という点は指摘しておいた方がいいだろう。「Spotify」など他のサービスを利用する場合には、iPhoneで「AirPlay」を使ってHomePodに音を飛ばし、iPhoneをリモコンのように操作する必要がある。iPhoneか、少なくとも「iPad」が必要だ。「Apple TV」と違って、設定には「iOS」デバイスが必要になる。
結論を言うと、HomePodはスマートスピーカとしては音質が非常に良い、というのが筆者の第一印象だ。間違いなく、競合製品(HomePodより安価なものも、高価なものもある)と十分に戦える。それでも、どのスピーカも同じだが、HomePodにもやはり限界があり、本物のステレオ再生が欲しくなってしまった。おそらく、そういう気持ちがあったためだろうが、筆者がこのデモで本当に興奮したのは、HomePodを2台つないで、本物のステレオ分離で再生したときだけだった。
注目の空間認識と室内最適化はどうだろうか。筆者が一番いいと思ったポジションは、スピーカから2~3メートル離れた位置にカウチがあり、その真ん中に座って、スピーカは耳と同じくらいの高さにある状態だ。要するに、普通のステレオスピーカと変わらない。
もちろん、HomePodには音楽再生のほかに、AppleのHomeKit対応のスマートホーム機能がたくさんある。今後、その使用感にも注目していきたい。
この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。
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