横浜銀行とワコールが語るデータ活用の重要性--「CMO Award」パネルディスカッション - (page 2)

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経営理念を守りつつマーケットイン&プロダクトアウトを実践するワコール

 続いてプレゼンテーションを行ったワコールの猪熊敏博氏は自社の歴史から振り返った。同社は1946年に創業し、創業者である塚本幸一氏が掲げた「世の女性に美しくなってもらうことによって、広く社会に寄与することこそ、わが社の理想であり目標」を紹介。この背景には、戦時中の女性は美しくありたいという望みを捨てなければならず、戦後を迎えた今こそ希望を実現したいという、塚本氏自身の戦争体験があった。

 当初は海外で買い付けたインナーウェアを日本の素材を使って開発していたが、日本人の体型に合わないという問題が発生した。そこで女性の体型を毎年測定し、時代の変化をデータとして蓄積する「ワコール人間科学研究所」を設立することで、一連の商品開発に活用しているという。


ワコール 執行役員 総合企画室 広報・宣伝部 部長 猪熊敏博氏

 現在のワコールは世界約20カ国に展開する女性向けインナーウェアを中心とした日本の衣料品メーカーだ。グローバルに向けたマーケティング活動として、「Think Globally, Act Locally」「Made by Wacoal」と2つのキャッチコピーを掲げている。「前者は地産地消。展開先となる国々に民族によって体型は異なるため、日本で培ったビジネスモデルを持ち込んで、その国の女性に向けた商品を提供する。後者はもの作りに対するコンセプト。どこで購入されても日本と同様の品質で提供することを約束している」(猪熊氏)という。

 日本国内では小学生高学年を対象に、保健体育授業の一部として自社の知見を活かした「ワコールの出前教室」や、美を多角的に学べる「ワコールスタディホール京都」などターゲットを明確にしたマーケティングを実施してきた。これらの活動は広報宣伝部や事業企画部、オムニチャネル戦略推進部などを取りまとめる総合企画室が実施するものだが、自社におけるCMOは創業者だと猪熊氏は断言する。1955年に電算室を社内に設けるなど、体系的なデータ活用を早期から取り組み、その姿勢は現在の経営基本方針である「愛される商品を作る(マーケットイン)」「時代の要求する新製品を開発する(プロダクトアウト)」に引き継がれているのだろう。

 他方で縮小する日本市場へ対応するための中期経営計画として、「市場成長戦略」「商品開発戦略」「収益向上戦略」「未来創造」の4つを掲げている。直営店も用意するワコールだが、デパートを経由すると顧客データを取得できないため、独自のオムニチャネル拡大で市場成長や収益向上を目指すという。また、インナーウェアに限らず新事業へのチャレンジや顧客に対するコミュニケーション戦略、AIを活用したデジタル広告の活用などを目指す。

 この背景にあるのが商品や顧客、コンタクト履歴、人間科学研究所が蓄積した各種データである。顧客チャネルは店舗やウェブストア、マスメディア、オウンドメディアと多岐にわたるが、集積したデータを活用して最適なプラットフォームを選択し、顧客の行動フェーズと組み合わせた戦略を披露。「顧客がインナーウェアを意識していない『普段の状態』や、着脱や洗濯、廃棄を行う『活用の場面』で顧客との接点を増やすのが重要」(猪熊氏)と述べつつ、ワコールはオムニチャネルの推進と更なるデータ活用で、品質向上につなげていくと説明した。

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