米上院情報委員会の公聴会が始まって約1時間半が経過した頃、上院議員のDianne Feinstein氏はFacebookとGoogle、Twitterを非難し始めた。
Feinstein氏は最初に「あなた方は分かっていない」と述べ、「あなた方には責任がある。これらのプラットフォームを作り出したのはあなた方で、今、それらが悪用されている。この問題に対処しなければならないのは、あなた方のはずだ。あなた方がやらないのなら、われわれがやる」と続けた。
ロシアのトロール部隊がFacebookやGoogle、Twitterのサービスを悪用して、2016年の米国大統領選挙に干渉した問題で、これらのテクノロジ大手企業は厳しい追及を受けていた。そして、カリフォルニア州選出の民主党上院議員であるFeinstein氏がついに業を煮やした。
11月、緊迫した空気の中、連邦議会委員会の公聴会が2日間にわたって3回開催され、そのすべてにおいて、FacebookとGoogle、Twitterは公然と叱責を受けた。上述のFeinstein氏の発言は、その1つにすぎない。だが、ある意味で、これらの公聴会は期待外れだった。3社は知名度の高い自社の最高経営責任者(CEO)ではなく、法務顧問らを派遣しただけだった。何人かの議員は公開質問中にその点を嘆いた。
しかし、それは、シリコンバレーの転換点を象徴する、注目すべき出来事でもあった。テクノロジ業界は長い間、米国政府や国民とバラ色の関係を享受してきたが、その蜜月期間がついに終わってしまったように見える、ということだ。
何十年にもわたって、シリコンバレーは、単にサンフランシスコの40マイル(約60km)南にある地域というだけでなく、その精神性も含めて、いわゆる未来の「肥沃な三日月地帯」とみなされてきた。そこでは起業家たちが、自分たちは米国の精神とそれを育む創造力を体現するために努力していると自負してきた。
テクノロジ業界は、自分たちのことを利他的だと言う。Googleは世界の情報を整理しているし、Facebookは世界をつなぎ、人々の距離を縮めている。それらの企業は雇用を生み出し、富をもたらし、実際に生活を楽にしてくれるサービスを作り出したため、政策立案者とも居心地のよい関係にあった。各企業のロビー活動部門は税制改革や専門職ビザなど、比較的当たり障りのない問題に目を向けてきた。
そして、大統領選挙があった。ロシアの干渉で、敵意に満ちたツイートが人々を疲労困憊させるほど大量に投稿され、米国がそれに飲み込まれた。衝撃的な出来事が次から次に起こり、Donald Trump氏が予想外の当選を果たした。1年以上にわたる大統領選挙戦では、シリコンバレーについて、議会と米国民の多くが不快に思うことがいくつも浮き彫りになった。大統領選挙戦については、Trump氏でさえも投票日の夜に「分断の傷」を修復する時だと述べている。
3社はこれまでも論争に直面したことはあったが、今回は別だ。重大さや深刻さに関して、ロシア干渉のスキャンダルに匹敵する違反は今までなかった。カリフォルニア大学バークレー校情報学大学院の教授であるChris Hoofnagle氏によると、議員たちがこれほど攻撃的になっている理由の1つは、彼らが脅威を感じていることにあるという。現代の選挙はソーシャルメディア上で展開されており、FacebookとGoogle、Twitterはソーシャルメディアを完全に掌握している。
「民主党議員も共和党議員も恐怖を感じている。これは新たな競争の場であり、議員らはそれを制御することができない」(Hoofnagle氏)
数十年の良好な関係の末、現在この3社は何をやっても裏目に出てしまうようだ。大統領選挙をめぐる論争の他にも、GoogleとTwitter、Facebookは暴力的なコンテンツやオンラインいじめ、暴走するアルゴリズムなど、さまざまな落とし穴に直面してきた。
Googleは、全米が悲劇に見舞われている時に偽ニュースを拡散するという、特にひどい失態を犯している。ラスベガスとテキサス州で発生した銃乱射事件の両方で、同社は実行犯に関する誤報を広める役割を果たしてしまった。同社の悩みの種は、検索エンジンだけではない。Google傘下のYouTubeも、子供を標的とする不快な動画をフィルタで排除できなかったとして非難を浴びている。
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