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“100年に1度の変革”に挑む--DeNAオートモーティブが見据える未来 - (page 2)

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社会への実装に挑む、新たなモビリティサービス

 続いて左向氏は、同社で進めている新たなモビリティサービスについて事例を交えて紹介した。

 フランスのEasyMile社と提携して事業を展開している「ロボットシャトル」は、自動運転技術を活用した無人運転バスのサービスだ。2016年8月から私道や私有地で導入を開始し、秋田県の田沢湖畔、千葉県のイオンモール幕張新都心、福岡県の九州大学伊都キャンパスなど国内7カ所で約4000名が乗車しているのだという。

Robot Shuttleで運用されている無人運転バス
Robot Shuttleで運用されている無人運転バス

 また、ヤマト運輸と共同で事業を推進している「ロボネコヤマト」は、自動運転による宅配自動車が個人宅に荷物を運搬することで、ドライバーの人材不足が大きな課題となっている個人宅向け配送業務の無人化を目指すというもの。利用者は、アプリで受取場所を指定すれば、自宅でなくても駅前や路上などサービスエリア内のどの場所でも荷物を受け取ることができるという。現在、神奈川県藤沢市の一部地域で、荷物の受取などに関与しない有人運転による実証実験を行っており、無人運転を想定したオペレーションの受容性を検証しているのだという。

 このサービスは、ヤマト運輸の荷物をオンデマンドで運搬する「ロボネコデリバリー」と、地域商店の商品をアプリで購入して配達してもらう「ロボネコストア」の2つで構成。参加している利用者や商店の経営者からは、サービスの使いやすさを評価する声や高齢者の買い物が便利になることへの期待の声などが聞かれているという。

ロボネコヤマト実証実験の概要
ロボネコヤマト実証実験の概要

 「ロボネコヤマトでは、自動運転や人工知能の技術、そして非対応オペレーションの独自ノウハウを発展させることで、物流労働者の少ない過疎地や労働力が逼迫している地方などでサービスの展開ができ、人材不足という課題を解決する可能性を秘めている。現在、配送ドライバーにはコミュニケーション能力、荷物を運ぶ体力、配送ルートを考える能力などさまざまななノウハウが求められるが、この有人型ロボネコヤマトによる非対応オペレーションでは多くの部分をテクノロジが担うため、将来的には無人運転を想定しているものの、短期的にはドライバー雇用の裾野を広げる可能性があるのではないか」(左向氏)。

ロボネコヤマトによってドライバー雇用のハードルが下がることが期待される
ロボネコヤマトによってドライバー雇用のハードルが下がることが期待される

DeNAが考える、コンパクトシティ時代のモビリティ

 最後に左向氏は、インターネットと人工知能によって生み出される未来のモビリティの可能性について語った。

 左向氏はDeNAの基幹事業であるソーシャルゲーム市場について、インターネットの進化の中から誕生して1兆円市場にまで急成長を遂げ、生活者のライフスタイルの変化に伴い “スキマ時間”という新たなゴールデンタイムを生み出したことを例に挙げた上で、モビリティの世界でも技術革新やインフラの構造変化が新たなライフスタイルや社会の変革をもたらすと説明。

 そして、1960年代の高度成長期との比較の中で、マイホームやマイカーの浸透、道路整備の推進などモータリゼーションの発展による郊外化の時代=都市空洞化の時代から、今後は人口の都市集中に伴いさまざまな都市機能を中心市街地に集約して新たなコミュニティを形成するコンパクトシティの時代へと変革していくと提言した。

2020年に向けたモビリティの変革
2020年に向けたモビリティの変革

「いま、テクノロジ、情報インフラ、エネルギー、ビジネスとあらゆる領域で大きな変革が同時に進んでいる。このような同時並行的にさまざまな変革が生まれることは過去に例がないのではないか。今後、モビリティの世界にも新たな変革が必ず起きる。そしてその変革は人々が集まる都市の中心部で起きるのではないか」(左向氏)。

 左向氏によると、このコンパクトシティという次世代型都市づくりのコンセプトは、現在グローバルで提唱されているものなのだという。「コンパクトシティの考えでは、郊外に分散していた都市機能を中心市街地に集約して経済効率やエネルギー効率を高めるという都市づくりの考え方で、街の活性化やコミュニティの再構築なども含まれている。コンパクトシティでは保有車両数や駐車スペースは縮小され、利便性の高い施設や歩行者用エリアが拡大される」(左向氏)。

これからの都市づくりのコンセプトであるコンパクトシティ化
これからの都市づくりのコンセプトであるコンパクトシティ化

 そしてこのコンパクトシティのなかで、都市としての利便性を維持して経済活動を活性化させるためには“エリア内モビリティ”が必要であると、左向氏は提唱。そして、電気自動車のバッテリーをエネルギー運搬手段として社会インフラの中に組み込む新たなサービスや、カフェやワーキングスペースといった様々な専門的な機能を持った空間そのものを移動させる新たな概念の自動車サービスなど、モビリティそのものの概念を拡張することでさらなる進化の可能性があると提唱した。

 「私たちDeNAでは、オンデマンドで人やモノの移動を実現してエリア内の回遊性を高めるラストワンマイルモビリティなど次世代の新たな交通システムづくりを目指している。しかし、インターネットや自動運転技術を活用して人やモノを運べればいいというわけではない。私たちは、進化の過程でモビリティの概念そのものを拡張させる。これまで固定化されていた空間がモビリティ化することで、施設に合わせて私たちが動く社会から、私たちに合わせて施設が動く時代がやってくるのではないか」(左向氏)。

モビリティ概念の拡張と新たな役割
モビリティ概念の拡張と新たな役割

「ロボネコヤマト」はヤマトホールディングス株式会社の登録商標です。
「ロボネコデリバリー」と「ロボネコストア」は商標登録出願中です。

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