筆者は会場でLINE LIVEの中継を見ている女性を見かけた。ステージを見ながらライブ放送のコメントも見たかったらしく、友人とスマホ画面を見ながら談笑する様子が印象的だった。
また、積極的にSNSで発信する、ショーの出演者も多い。開催日前から「#TGC」や「#東京ガールズコレクション」のタグ付きで打ち合わせの様子を発信し、バックステージでショーの合間やイベント終了後に撮影した写真をアップしていた。
東京ガールズコレクションに出演すること自体がタレントにとってもステータスになっているのだろう。出演者のツイートは、東京ガールズコレクションの公式アカウントでリツイートされる。参加者、主催者、出演者によって、ソーシャル上でもその熱量が拡散していく。
東京ガールズコレクションは「See Now, Buy Now(ショーで見てすぐ買う)」と呼ばれる販売手法を実現したと言われている。ショーで紹介される服や小物は、手元のスマホですぐ購入できるからだ。
しかし、この流れは年々変わってきているらしい。
そこで、会場にいる女性たちに話を聞いてみた。筆者が聞いた限りでは、すぐに購入するという人はいなかった。「ショーで見る服はライティングに照らされて色がわからない」という人や、「気に入った服は覚えておいて店頭でサイズを見て買う」と、実物を見てから購入するという意見が多かった。
普段よくオンラインショッピングで服を買うという女性も、今回のイベントは芸能人やアーティストを見たり、写真をSNSにアップしたりすることが目的で、服を見に来ているわけではないと話した。
筆者は普段、女子高生を中心に取材しているが、彼女たちも店頭で実物を見て買うことが多いという。空いた時間にスマホでショッピングサイトを下見して、気になる商品があったら店頭へ向かう。
ネットで買うのは特典付きCDやアーティストのグッズなどオンラインショップでしか買えないものや、商品の品質が明らかな本や雑貨だ。ファッションに関しては、特に堅実な購入傾向が感じられる。化粧品の試供品や使いかけの口紅を安値で売買できるメルカリが重宝されているのも、それが理由だ。
店頭で品定めをしてインターネットで購入することは「ショールーミング」と呼ばれるが、若い世代にはその逆である「ウェブルーミング」が増えているのかもしれない。
東京ガールズコレクションに参加すると、次々にショーが行われ、合間にブースを巡り、友人と写真を撮り、SNSに投稿して……と、かなり忙しい。であれば、後日近くの店で実物を確認するか、自宅でゆっくりネットショッピングするという気持ちはわかる。紹介されている服はそこでしか買えないものではないからだ。
開催12年目の同イベントでは、東京ガールズコレクションの初期から出演していた香里奈、土屋アンナ、山田優がトップバッターとして登場した。3人とも33才、母親になっている人もいる。その頃から東京ガールズコレクションに熱中している客も、育児に突入している世代だ。
今回、会場には無料の託児所が設置され、ダンスプログラムを楽しむ子どもたちの様子が見られた。スマホでLINE LIVEの中継を見ていた乳幼児を抱えるママも多かっただろう。国を越えて広がる東京ガールズコレクションの輪は、次世代へもつながる可能性がある。
筆者は初めての参加だったが、想像していたファッションショーというイメージとは違う、女性たちが好きなものをすべて詰め込んだ、お祭りのようなイベントだと感じた。その一方、ITの先端を行く取り組みにも果敢にチャレンジし続けている。女性とITを自然に結び付けている東京ガールズコレクションは、今後も目が離せない。
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