今やウェブルーミング?--東京ガールズコレクションに見る「ファッション+IT」のリアル

 「東京ガールズコレクション」――。若い女性向けのイベントにもかかわらず、その名に聞き覚えがある人は多いだろう。主に20~34歳の女性層、いわゆるF1層をターゲットとするイベント「マイナビ presents 第25回 東京ガールズコレクション2017 AUTUMN/WINTER」が9月2日にさいたまスーパーアリーナで開催された。

マイナビ presents 第25回 東京ガールズコレクション2017 AUTUMN/WINTER
マイナビ presents 第25回 東京ガールズコレクション2017 AUTUMN/WINTER

 東京ガールズコレクションは2005年にスタートし、今回で25回目となる。開催地は首都圏に限らず、2010年からは北九州や沖縄、名古屋などでも実施されている。なかでも、北九州市で行っている「TGC KITAKYUSHU」は「地方創生プロジェクト」として継続的に開催しており、北九州市への経済波及効果額は約17億円(北九州経済研究所調べ)と発表している。

 海外への展開もあり、パリ、北京、シンガポール、タイ、ジャカルタの5カ国でもイベントを開催した。海外展開は経済産業省が掲げる「クールジャパン政策」への参画だ。「東京」と銘打ってはいるが、「日本のガールズカルチャーを世界へ」をテーマに運営されてきたことがわかる。

 イベントの中心となるのは、ファッションショーだ。ただし、いわゆるファッションショーとは趣が異なる。紹介されるのは高級ブランドの商品ではなく、一般の女性が普段着ている手頃な価格のブランドだ。

 しかも、最新ファッションを紹介するのがファッションショーであるという前提を覆し、中古品を扱うフリマアプリ「メルカリ」までもが登場する。

 ランウェイを歩くのはモデルだけではない。乃木坂46のメンバーや雑誌モデルをつとめる女優、若い女性に人気のイケメン俳優だ。さらにお笑いタレントによるショー、音楽ライブ、映画やラジオ番組の宣伝など、ファッションに留まらないイベントが15~22時にステージ上で繰り広げられる。

 最も近くで出演者を見られるランウェイ横の「スタンディングエリア」は自由席で、開場前は朝から行列ができる。無事に入場しても立見席なので何時間も立ちっぱなしでステージを見続ける人が少なくない。今回のチケット代は6300~1万5500円で販売され、ほぼ完売だった。

 東京ガールズコレクションで楽しめるのは、ショーだけではない。企業が出店するブースでは、メイクアップやヘアスタイリング体験、スムージーやスイーツの試食などが楽しめる。ファッションショーの合間には、ショーの出演者がブースに現れてトークショーなどを行う。

 今回出演したモデルは104人、ゲストは34組、サプライズ出演したシークレットゲストが7組、ライブを行ったアーティストは19組とかなりの人数だ。いつもテレビや雑誌で見ている芸能人やモデルを何十人も、しかも目の前で見られるイベントなのである。

主催者、出演者、観客すべてがSNSでつながるイベント

 東京ガールズコレクションは“最旬”のコンテンツをいち早く世界に向けて発信したいと考えている。その取り組みとして「AI×ファッション×ソーシャル」を掲げ、AIに関してはTwitterのハッシュタグ付き投稿からAIが文脈を読み取り、色を変化させるというコグニティブドレスを紹介した。同時に、AIによるスナップコンテストもあり、SNSで「いいね」を集められるコーディネートがランキングで公表された。

 ソーシャルとの関連はこれだけではない。前述の企業ブースでは、InstagramやTwitterなどのSNSで企業アカウントをフォロー、もしくはハッシュタグを付けて投稿すると、試供品やプレゼントがもらえるイベントが行われていた。1000万円相当のティアラを付けて撮影できるフォトスポットなど“インスタ映え”するスペースを用意しているブースが多く、SNSでの拡散を期待していることがわかる。

イオンカードのブースでは、インスタ映えする背景や小物を用意
イオンカードのブースでは、インスタ映えする背景や小物を用意

 東京ガールズコレクションの主催者もSNSに力を入れている。公式アカウントは、LINE、Twitter、Instagram、Facebook、YouTube、LINE BLOG、そしてWeibo(微博・ウェイボー)と主だったソーシャルサービスに存在し、すべてをフル活用している。Instagramでは出演者が動画で当日までのカウントダウンを行っていた。

 さらにライブ放送サービス「LINE LIVE」で生中継もされた。ステージだけでなく、出演者のインタビューも含めたプログラムだ。ライブ中継なら、ショーへの参加が難しい中高生や海外に住む人も楽しめる。

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