「Windows」PCは死なない--「ペイント」もまたしかり

Mary Branscombe (Special to ZDNET.com) 翻訳校正: 川村インターナショナル2017年08月03日 07時30分

 Microsoftは、「ペイント」を廃止すると言ったわけではなかった。だが、「Windows 10 Fall Creators Update」のリリースノートで、長い歴史を誇るペイントが「非推奨」になると発表された途端に、早合点するユーザーが続出してしまった。

 今までずっと身近にあったものが存続の危機を迎えたときによく見られるパターンが、ここでも繰り返されている。やや不格好で単純なこのソフトウェアが、実際にはけっこう便利なものだと、ユーザーがにわかに気付き始めたのである。といっても、便利なのは、それが最初から入っていて、必要なことをそれなりに十分こなしてくれる、というのが主な理由だ。

 もちろん、ペイントが「Windowsストア」に移行することになれば、これには当てはまらないことになる。

 デスクトップソフトウェアでもWindowsストアから入手することには、メリットが多い。まして、開発者がソフトウェアを部分的にWindowsストアのアプリに変換することのできるツールである「Desktop Bridge」でパッケージ化されたデスクトップソフトウェアともなれば、そのメリットは大きいだろう。

 というのも、2017年後半の登場が予定されているARMベースの「Windows」PCで、ペイントのような32ビットアプリが動くようになるからだ(Corelの「Painter」のような64ビットアプリには該当しない)。そして、どのアプリでも、1つの場所で手軽にソフトウェアを検索してインストールでき、アップデートが公開された場合にはそれも入手できる上、アンインストールも簡単になる。いちいちカスタマイズする手間も省けるだろう。例えば現在、クイックアクセスツールバーに固定したペイントのアイコンは、Windowsアップデートのたびに消えてしまう。

 ペイントより強力で複雑な「Paint.NET」がWindowsストアに移行するのも、筆者にはうれしい。なぜなら、フリーソフトウェアをダウンロードしようとすると、ほかにもダウンロードリンクがたくさん表示され、アドウェアかもしれないリンクをうっかりクリックしてしまうことを考えるとハラハラさせられるからだ。

 PC用の無償ダウンロードとなると、経済上そうした仕組みは避けようがない。広告を表示するのは、ホスティングのコストをまかなうためなのだ。最近は画面の作りが改善されているが、不用心な、あるいは経験の浅いユーザーなら、意図しなかったソフトウェアをインストールする羽目にもなりかねない。

 とはいえ、ペイントがWindowsストアに移行するのは、必ずしも便利なこととは限らない。ペイントが自動的にインストールされるのかどうか、まだわからないからだ。Windowsストアのアプリには、「フォト」「メール」「電卓」のように「Windows 10」PCに必ずインストールされるものもある。

 だが、ほとんどの場合、Windowsストアにアクセスして希望のアプリを選ぶ必要がある。過去にストアを使ったことがあれば、これまでに試したことがある全アプリのリストが表示される。少なくとも今のところ、再表示させたくないアプリは非表示にすることができる。ただし、非表示にできるのは一部だけで、かなりの数のアプリを非表示にできない理由は不明だ。

 それよりずっと便利なのは、新しいPCを使い始めたとき自動的にインストールされていてほしいアプリをマークしておけるオプションだろう。本当に便利なアプリをストアで見つけた場合には、新しいPCでもすぐに使えるようにしたいものだ。こうした統合機能があれば、MicrosoftがユーザーのPCの使い方を本気で考えていることもうかがえる。

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