マイクロソフトがARM対応と「Windows 10 S」で挑む脱PC戦略

Steve Ranger (ZDNet UK) 翻訳校正: 川村インターナショナル2017年07月06日 07時30分

 PCは「Windows」の牙城である。そして、PCは消滅するとの予想にもかかわらず、持ちこたえているようだ。Microsoftが最近、魅力的なハードウェア設計をいくつか発表していることも、その理由の1つである。

 しかし、Microsoftが最近取り組んでいるいくつかのプロジェクトは、同社が従来のPC以外にもWindowsを拡大したいと考えていることも示している。

 そうしたプロジェクトの1つが、「Windows 10」をARMで動かす取り組みだ。WindowsをARMベースのチップ(スマートフォンを動かすのに使われるチップ)で動かすことができれば、より小型かつ軽量で常時オンの端末にもWindowsが搭載されるようになるかもしれない。最初のハードウェアは2017年中に登場するとされている。

 将来性のあるプロジェクトはほかにもある。「Continuum」だ。Continuumを利用すると、「HP Elite x3」のような「Windows Phone」端末にキーボードとモニタを接続して、PCのように使用することができる。

 そして最後に、「Windows 10 S」も期待できる。Windows 10 SはいわばWindows 10のロックダウン版で、使いやすさに関してGoogleの「Chromebook」に対抗することが狙いだ。

 これらのプロジェクトはすべて、少しずつ異なる方向を向いているが、Windowsを従来のPC(すなわちデスクトップとノートPC)分野の外に拡大するという共通の目標でつながっている。

 もちろん、これはMicrosoftにとって新しい取り組みではない。従来のPCからの拡大を試みた直近の事例は、「Windows RT」と「Windows Mobile」だが、いずれもうまくいかなかった。

 2012年10月にリリースされたWindows RTは、Windowsの機能縮小版で、ARMチップ上で動作し、「Windows Store」のアプリのみをサポートした。Windows RTを最初に搭載したのは、Microsoft独自の「Surface RT」ハードウェアだった。

 しかし、消費者はなぜWindowsの機能縮小版を買わなければいけないのかをよく理解できず、開発者もARMで動かすために既存のアプリを記述し直すことを渋った。結局、Microsoftは売れ残ったSurface RTの在庫処分のため、9億ドルの減損処理を余儀なくされた。


提供:Sarah Tew/CNET

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