「Windows」PCは死なない--「ペイント」もまたしかり - (page 3)

Mary Branscombe (Special to ZDNET.com) 翻訳校正: 川村インターナショナル2017年08月03日 07時30分

 あらゆる予測をよそに、そしてコンシューマ技術の利用の一定量をスマートフォンが占めるようになったにもかかわらず、PCがいまだに死なないのには理由がある。それは、長い間自分の身近にあったものを引き続き使いたいと考え、実際に使っているユーザーが一定数以上存在するということだ。慣れ親しんでいる気持ちから来ているのもしれない。あるいは、基本機能に限られた単純なツールでも使い方がわかっているほうが、使い方を知らない高機能で高性能なツールより、早く済むということかもしれない。

 モバイルデバイスも、これまで付加的なデバイスとして存在してきた。スマートフォンやタブレット上の洗練されたオプションで自分の望む機能を実行できないことがあれば、荒削りでもPCにいつでも頼ることができる。

 時の経過とともに、新しいことは確かに、モバイルデバイスを使うほうが簡単に処理できるようになっているし(例えば、Virgin Atlanticのアプリでチェックインが楽になった)、モバイルデバイスでしかできないことも出てきた。Lyftで配車を頼んでみたり、アプリ専用オンラインバンキングのアカウントにPCから登録しようとしたりすればわかる。だが、アプリですべてをこなせるわけではない。Virgin Atlanticのアプリに、マイレージの登録漏れを申請するボタンはないが、PC上のウェブサイトにはそのボタンがある。

 これは、ネイティブのモバイルアプリと、どんなデバイスでも動くウェブサイトとの違いだけの問題ではないし、Windowsと「iOS」の違いでもない。ソフトウェアのスタイルとエクスペリエンスの問題だ。

 片手で足りる数の適切(でベスト)な機能を厳選するミニマリズムか、それとも、使わないかもしれないが、いざ必要になったときには使える機能を豊富に用意しておくのか、という問題である。ぴかぴかの新製品に、少なめだが自分にとって本当に必要な機能だけが搭載されていれば、素晴らしい。どんなにぴかぴかの新製品でも、自分にとってそのソフトウェアが有用だと思わせるたった1つの機能が最初から欠けていたら、気に障るのは明らかだろう。

 PCがまだ死んでいないのは、コマンドライン型のアプリケーション(今や「Linux」バイナリも用意されている)から、仮想マシン、4年間もアップデートがないクリップボードユーティリティ、「Photoshop」の最新バージョンまで、何でも使えるからにほかならない。「Fresh Paint」ではデジタルメディアを使って指で描けるし、「CorelDRAW」ではペン操作で滑らかなベクトルを描ける。Windowsストア版の「Spotify」もあるし、自分で開発したソフトウェアも動くのだ。

 つまり、それを便利に思う人がいるために、PCには粗末な作りの機能がある程度はついて回ることになる、ということだ。

 テクノロジは、映画「ハイランダー 悪魔の戦士」のように「1人しか生き残れない」わけではない。

 「Server Message Block(SMB)」バージョン1や「Flash Player」のようにセキュリティホールが理由で終了しなければならない場合は別だ。だが、今でも機能し、安全に使えるものであれば、古いソフトウェアを便利に思っている人々が、より安全性を増したプラットフォームで使い続けられるようにすべきで、ユーザーの妨げになるものを増やすべきではない。ユーザーが選ぶテクノロジが、自分たちの選択と必ずしも同じではないことも受け入れるべきであろう。

 そもそも、「PC」という言葉が表すのは「パーソナル」なコンピュータ、なのだから。

この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。

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