テクノロジ業界の超有名人同士が繰り広げるバトルは、いつも見ものである。
先週初め、TeslaおよびSpaceXの最高経営責任者(CEO)であるElon Musk氏と、FacebookのCEO、Mark Zuckerberg氏がソーシャルメディア上で、人工知能(AI)の将来についての互いの見解をめぐって口論を繰り広げた。
Zuckerberg氏は米国時間7月23日、Facebookでのライブ配信中に視聴者から次のような質問を受けた。「Elon Musk氏の最近のインタビューを見たのですが、彼は将来の最大の懸念はAIだと言っていました。AIと、AIが世界に与える影響についてのあなたの考えを聞かせてください」
Zuckerberg氏は遠慮しなかった。「そのことについては私は非常に強い意見を持っている。私は楽観的だ。だから、否定論者が人類滅亡のシナリオを広めようとするのが理解できない。それは本当にネガティブな行為で、ある意味非常に無責任だと思う」と語った。同氏はこれまで、AIが病気の診断や自動運転車でいかに人命に貢献するかを長々と説明してきた。
「人間の死因で最も多いのは、今でも交通事故だ。AIで交通事故を排除できれば、劇的な進歩があるだろう」(Zuckerberg氏)
これに対しMusk氏は素っ気なく、「これについてはMarkと話したことがある。彼のこの問題に関する理解は限定的だ」と、短いが効果的なカウンターパンチをTwitterで繰り出した。
I've talked to Mark about this. His understanding of the subject is limited.
— Elon Musk (@elonmusk) 2017年7月25日
このやり取りには、もちろんちょっとした背景がある。Musk氏はかなり前からテクノロジ業界のノストラダムスよろしく、やがて「邪悪なAI」が登場すると警告している。映画「2001年宇宙の旅」のHALのように、AIは人間の知能を上回り、適切に監視して規制しなければ、人間を破滅させるというのだ。
「私たちはAIについて、極めて慎重になる必要がある。核兵器より大きな危険性を秘めているかもしれない」とMusk氏は2014年にツイートした。その数カ月後には、「人類が愚かな過ちを犯さないようにするため、国家レベルと国際レベルで、何らかの規制当局による監視を行うべきだと私は考えており、その思いをますます強めている」と語った。
CNET Japanの記事を毎朝メールでまとめ読み(無料)
ものづくりの革新と社会課題の解決
ニコンが描く「人と機械が共創する社会」
ZDNET×マイクロソフトが贈る特別企画
今、必要な戦略的セキュリティとガバナンス