TeslaとSpaceXのビジネスモデルを調整するために眠れない夜が続き、妄想にとりつかれてしまったのだろうか? 今のところ不明だ。だが、Musk氏のコメントは、物理学者で宇宙愛好家のStephen Hawking博士を味方にするには十分かもしれない。Hawking氏は4月に北京で開催された「Global Mobile Internet Conference 2017」へのビデオ出演で、「生物的進化に時間がかかる人間は、AIと競合できずに取って代わられる可能性がある」と語った。
Musk氏は壮大な思想を語るだけの人物ではない。同氏は言及したことに金もつぎ込む。「OpenAI」と名付けられた非営利団体を、共同で10億ドル出資して立ち上げた。AIを遍在させ、特定の人間や、映画「ターミネーター」に登場する「Skynet」のような存在に悪用されないようにするのが同団体の目的だ。Hawking氏とMusk氏はまた、AIが将来良い目的のために使われるようにするための23の原則をまとめた「Asilomar AI Principles」に署名している。
さらに、多忙なMusk氏は、新企業Neuralinkを立ち上げた。同社の目的は、脳を覆う電極をちりばめた「神経レース」(今はまだ、おとぎの国のコンセプトのようなもの)を使って人間をサイボーグに変え、人工知能に後れを取らないようにすることだ。
Musk氏の一連の行動は大変結構なものだ。だが、これでは、Musk氏とZuckerberg氏という強烈な個性の持ち主の2人を結びつけたかつての悲劇を根に持っているであろう、Zuckerberg氏の恨みを収めることはできないのかもしれない。2016年に、Facebookがインターネット接続拡大のために用意した人工衛星を積んだSpaceXのロケットが発射台で爆発したのだ。
Zuckerberg氏はこの事故についてどう感じているのか、また、責任が誰にあるのかについて非常に率直に語った。「滞在中のアフリカで、SpaceXがロケットの発射に失敗し、われわれの人工衛星を破壊したと聞いて深く落胆している。あの人工衛星は、アフリカ大陸の多くの起業家を含むすべての人々にインターネット接続環境を提供するはずだった」(人工衛星はFacebookのものではなく、イスラエルの企業Spacecomが製造し、Facebookは仏人工衛星企業Eutelsatと共同で5年のリース契約をしており、保険にも入っていた。)
この2人のハイテク億万長者の間で高まっている敵意には、ブログメディアのArstechnicaが指摘するように、うまい皮肉が含まれている。Zuckerberg氏のAI擁護コメントは、Musk氏がTeslaの車を、特に最近注目を集めた死亡事故の際に擁護したコメントにそっくりだというのだ。
Facebook側には、AIがもたらした多数の虚偽ニュース問題があり、今では同社のコンテンツ管理は効率的で低コストのAIではなく、数千人の低賃金の契約社員が担っている。
この話の教訓:AIは人間にとって善にも悪にもなりうる。何かが起きるまで分からない。
この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。
CNET Japanの記事を毎朝メールでまとめ読み(無料)
パナソニックのV2H蓄電システムで創る
エコなのに快適な未来の住宅環境
企業や自治体、教育機関で再び注目を集める
身近なメタバース活用を実現する
ものづくりの革新と社会課題の解決
ニコンが描く「人と機械が共創する社会」
OMO戦略や小売DXの実現へ
顧客満足度を高めるデータ活用5つの打ち手