種としての人間が将来も存続するには、自給自足できるコロニーを火星に建設する必要があると、SpaceXの最高経営責任者(CEO)であるElon Musk氏が主張している。
Musk氏は、「Making Humans a Multi-Planetary Species」(人類を惑星間種族にする計画)と題した論文を発表し、人類が複数の惑星に住み、宇宙を行き来するような社会を形成するという構想を明らかにした。
この論文は、2016年にメキシコのグアダラハラで開催された第67回国際宇宙会議におけるMusk氏の講演内容をまとめたものだ。この中で同氏は、人類滅亡の日が将来やって来る可能性を考えれば、それを避けるために他の惑星に目を向けざるを得なくなるとの考えを示している。
この論文によると、われわれが現時点で選択可能なすべてのオプションを検討すると、金星は大気圧と酸の濃度が高すぎ、水星は太陽に近すぎる。また、他の惑星の衛星はたどり着くのが困難だ。そして、地球の衛星である月は小さい上に大気がない。
したがって、距離が遠いとはいえ、火星が最良のオプションだというのがMusk氏の主張だ。火星を暖めて大気を厚くし、氷河を(液体の)海として利用することが可能になれば、火星はますます有望だという。
また、昼と夜の周期が地球に近く、大気の組成が主として二酸化炭素、窒素、アルゴン、それにいくつかの微量成分からなるため、植物を栽培できる可能性もある。
さらにMusk氏は、「重力が地球のおよそ37%しかないため、火星での生活はとても楽しいものになるだろう」と語っている。
同氏は惑星間輸送システムの構想も示し、実現については「極めて順調に進めば10年ほどで実現できる可能性もあるが、いつになるとは言いたくない。とてつもなく大きなリスクがあり、かなりのコストがかかるだろう。うまくいかない可能性も十分にある。だが、われわれは最善を尽くし、可能な限り進展すべく取り組む」としている。
この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。
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