トレジャーデータ、店舗やIoTなど幅広い顧客データを統合管理できる「TREASURE CDP」

 トレジャーデータは7月11日、広告、マーケティング、CRMなど、さまざまな領域の顧客データを統合管理できるカスタマー・データ・プラットフォーム(CDP)を日本市場で提供すると発表した。


CDPについてプレゼンテーションする米国トレジャーデータのCEOである芳川裕誠氏

 トレジャーデータはこれまで、広告配信システムなどと連携してマーケティング・オートメーションを支援する基盤として「TREASURE DMP」を提供しているが、今回発表された「TREASURE CDP」は広告配信ログに加えてオウンドメディアやモバイルアプリの利用ログ、CRMやユーザーサポートのコミュニケーションログなど企業が保有する顧客データ、セカンドパーティ・サードパーティのDMPが提供するデータを統合管理してマーケティングのパーソナライズを可能にするデータ基盤だ。

 連携できるデータには、インターネット上での顧客行動から取得できるデータに加えて、店舗のPOSデータ、来店履歴、IoT機器が収集するデータなどをも含まれている。米国トレジャーデータのCEOである芳川裕誠氏は「さまざまなデータソースからあらゆるデータを大量かつ高速に収集することで、顧客を360度で理解して最適なマーケティング施策、CRM施策を展開できる」と説明する。

TREASURE CDPの概念図
TREASURE CDPの概念図
TREASURE CDPが従来のDMPと違う点
TREASURE CDPが従来のDMPと違う点

 連携できるデータは多種多様なデータソース、データタイプに対応しており、期間制限なく大量のデータをクラウドに保存可能、そしてマーケターがワークフローを独自に構築して、柔軟にデータを広告・マーケティング施策やCRM施策などに活用できるという。

企業のビジネス戦略に「パーソナライズ」は必須

 こうしたマーケティングのパーソナライズを推進する背景には、米国におけるデジタルトランスフォーメーションの動向が大きく関わっているという。芳川氏は、過去15年で米国Fortune500にランクインしている企業の52%が入れ替わっているというデータを紹介し、新たにランクインした企業の多くはGoogle、Facebook、Amazonなどのデジタル企業である点を指摘。

 そしてこれらの企業は「データによってパーソナライズされた顧客体験をサービスの本質にしている。顧客の経験にテーラーメイドされた体験を提供することで、商品を売りつけるのではなく顧客に対してさまざまな気づきを与えている」と説明し、これからの企業のビジネス戦略にとってデータドリブンの経営・マーケティングへのシフトは不可避という認識を示した。

 そうしたパーソナライズされた顧客体験によるマーケティング戦略の成功事例として、芳川氏は米国でAmazonを超える人気だというモバイルショッピングアプリ「WISH」を紹介。WISHは創業時からトレジャーデータのソリューションを活用して顧客体験のパーソナライズを徹底して推進し、レコメンドの精度が向上したことで、顧客が購入する商品の90%は商品検索ではなくレコメンドによって勧められたものなのだという。

パーソナライズによって成功した米国のショッピングアプリ「WISH」
パーソナライズによって成功した米国のショッピングアプリ「WISH」

 「データ基盤は作るのも大変だが、価値ある基盤であり続けるためにメンテナンスしていくのはもっと大変だ。トレジャーデータが支援することでプロダクトの開発に集中することができ、5年間で40億ドルものビジネスに成長することができた」(芳川氏)。

 
トレジャーデータのソリューションを活用した背景と効果
トレジャーデータのソリューションを活用した背景と効果

ポール・キップ・ジェームス氏を起用しセキュリティを強化

 トレジャーデータは、TREASURE DMPなどで個人の本人特定性を持たないCookieやIDFA(広告識別コード)などを中心に扱ってきたが、TREASURE CDPを展開することで、同社のクラウドサーバに顧客の本人特定性を持つカスタマーID、氏名、メールアドレス、住所などの個人情報を行動データと紐づける形で長期間保有することになる。トレジャーデータ米国法人では、TREASURE CDPを提供するにあたってセキュリティを強化するために、1月にポール・キップ・ジェームス氏をチーフ情報セキュリティオフィサーに起用した。

 ポール・キップ・ジェームス氏は、米国海兵隊で情報システムマネジメント部門のチーフを務めたほか、ロッキード・マーティンで情報セキュリティ部門の責任者を務めている。トレジャーデータでは、技術的なセキュリティの堅牢化だけでなく組織のコーポレートガバナンスをも強化して、情報セキュリティや内部統制に関するさまざまなサーティフィケーション(公的な認証)を取得していくとしている。

 すでに同社ではポール・キップ・ジェームス氏が就任して以降、ISO27001(情報セキュリティに関する国際認証)、SSAE16 SOC2 Type2(内部統制に関する保証基準)、EU-US間のセキュリティ・シールド(EU各国と米国で個人情報を利用する場合のセキュリティフレームワーク)などの認証を受けているという。

 「米国でクラウドサービスのサーティフィケーションを取得するためには、テクノロジの要件だけでなく社内の内部統制や外部による監査が非常に重要だ。ポール・キップ・ジェームス氏は過去の経験でサーティフィケーションの取得を数多く手掛けており、必要な社内整備のノウハウに期待している」(芳川氏)。

 なお、米国ではワーナー・ブラザーズ、アウディ、マテルなどがマーケティングのためにTREASURE CDPを利用するほか、日本市場ではSUBARU、ソフトバンク、JT、キリン、東京海上日動、ユナイテッドアローズ、JapanTaxi(旧 日交データサービス)などの広告主企業が導入。また、KADOKAWA、小学館、メディアジーン、GIZMODE、C CHANNELといったメディア企業もメディア向けTREASURE CDPを導入している。

 トレジャーデータ日本法人の代表取締役社長である三橋秀行氏は、「ネット広告のパーソナライズは日本でも進んでいるが、TREASURE CDPによってオウンドメディアやECサイトにおける顧客体験のパーソナライズが大きく進めば」と期待を寄せた。

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