老舗時計ブランド「TISSOT」とレコチョクが示したVRプロモーションの可能性

 レコチョクとスウォッチ・グループジャパンは、時計ブランド「TISSOT(ティソ)」のVRプロモーションビデオを制作。4月12日、その背景やこだわりのポイントなどについて、スウォッチ グループ ジャパンティソ事業本部TISSOT Brand DirectorのMartin Gordian氏、レコチョク執行役員CTO兼レコチョク・ラボ長の稲荷幹夫氏、プロモーションビデオに出演しているWORLD ORDERの須藤元気氏の3名が説明するトークセッションを開催した。


左から須藤元気氏、Martin Gordian氏、稲荷幹夫氏とMCのnico氏。全員腕時計は「TISSOT」

スウォッチ グループ ジャパンティソ事業本部TISSOT Brand DirectorのMartin Gordian氏

 VRプロモーションビデオは、TISSOTの2017年新モデル「TISSOT BALLADE AUTOMATIC」を紹介するために制作された第2弾。YouTubeのTISSOT公式チャンネルで公開している。TISSOTでは、2016年から須藤元気氏をブランドアンバサダーに迎え、プロモーションを展開。WORLD ORDERが出演したプロモーションビデオの第1弾も公開されている。

 今回のVRプロモーションビデオの制作は「多くのプロモーションビデオはCGを多用しており、時計中心の映像が多い。それではすべて同じに見えてしまう傾向があり、差別化がしにくい。その中に記憶に残るビデオを作りたかった」とGordian氏が考えたことがきっかけ。そこで、レコチョクの次世代のサービスや音楽マーケット創造に向けた研究開発機関として、VRコンテンツ制作やビッグデータ解析を手がけるレコチョク・ラボに制作をお願いしたという。

 「第1弾は心斎橋にある『スウォッチストア』内のみで撮影するという限定的な内容だったにも関わらず、すごくよい出来だった。これを超えつつ、さらにVRで撮影するということで、どうしようかと思った」と須藤氏は、撮影時を振り返る。


「TISSOT BALLADE AUTOMATIC」

VR撮影の肝は事前のイメージと現場の調整


レコチョク執行役員CTO兼レコチョク・ラボ長の稲荷幹夫氏

 VR撮影ではいわゆる絵コンテのようなものを作ることが難しい。レコチョク・ラボ長の稲荷幹夫氏は「事前のイメージと現場の調整が重要。実際に身体を動かしながら打ち合わせもした。最初に話をいただいたときは、チャレンジだなと思った」と当時の心境を話す。

 撮影には「Z CAM(ゼットカム)」というカメラを使用。これを上下左右に4台接続して使ったという。Z CAMは、複数のレンズで撮影し、つなぎ合わせるスティッチがやりやすいほか、ソフトウェア上での作業にも優れているため採用したという。

 この機材を使って撮影したVR映像は「人が宙に浮いている感覚を味わえることが特長。照明の強さと影にも注意を払うことで、カメラの位置が全くわからないようにしている」と稲荷氏は説明する。


WORLD ORDERの須藤元気氏

 出演した須藤氏は「すべてが見えるので気が抜けない状態(笑)。ヒットに結びつく優れた作品の共通点は臨場感を支配することだと思っている。その場にいるような感覚を味わえるものはヒットするし、人に感動を与えられる。しかしVR映像は臨場感はあるけど支配しにくいという難しさがあった。360度どこでもOKという自由度が高い分、その中で何をしたらいいのかわからなくなってしまった。そこで、時計にリンクしたような動きを意図的に入れることで、臨場感を支配できるように注意した。普段はあまり見せない後ろ姿などを見せているのも、臨場感を意識した結果」と須藤氏は話す。


須藤氏、Gordian氏、稲荷氏もVR映像を体験した

記憶に残るコンテンツを作ることが拡散につながる

 Gordian氏がVRプロモーションビデオで狙うのは、ソーシャルでの拡散力だ。「VRは、ストア店頭で大画面で流すようなイメージではなくて、モバイルに適したコンテンツ。スマートフォンを使ってYouTubeで見る人が一番多いと考えている。モバイルで見やすいものは『いいね』をしてシェアする動きが出てきやすい」と分析する。

 またVRコンテンツは360度、すべてを記録しているので、繰り返し視聴しても新しい発見があり、何度も見返したくなることも魅力の1つ。繰り返し見る人を増やすことで、ファンも獲得できる。

 「今までの2D映像では、広告っぽさが目立ち、ブランドのメッセージも一方的になりがちだった。VRは、いろんなアングルから見られることが面白いし、自然に見せることができる。それが今の時代に合っていると思うし、今までの映像作品ではできなかったことだと思う」とGordian氏は、VRプロモーションビデオの可能性を話す。

 Gordian氏は「基本的にはプロモーションビデオではなくてコンテンツだと思っている。記憶に残るコンテンツを作ることが、ソーシャルでの拡散にもつながるし、拡散されることで新しい顧客にもつながる。今時計を買って欲しいのではなく、いずれ時計を変えたいと思う時に思い出してもらえるようなブランドにしたい」とVRプロモーションビデオに対する期待を話した。


WORLD ORDERによるパフォーマンス

CNET Japanの記事を毎朝メールでまとめ読み(無料)

-PR-企画特集

このサイトでは、利用状況の把握や広告配信などのために、Cookieなどを使用してアクセスデータを取得・利用しています。 これ以降ページを遷移した場合、Cookieなどの設定や使用に同意したことになります。
Cookieなどの設定や使用の詳細、オプトアウトについては詳細をご覧ください。
[ 閉じる ]