地方への人材流動を促す「SELF TURNプロジェクト」が発足

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 日本人材機構、NPO法人ETIC.、ビズリーチは3月22日、個人の働き方改革を啓発し、地方への人材流動を促すことを目的とした啓発プロジェクト「SELF TURNプロジェクト」を発足すると発表した。

ビズリーチの代表取締役社長である南壮一郎氏
(左から)NPO法人ETIC.の代表理事である宮城治男氏、日本人材機構の代表取締役社長である小城武彦氏、働き方改革担当大臣の加藤勝信氏、ビズリーチの代表取締役社長である南壮一郎氏

 このプロジェクトでは、“働き方=生き方”と捉えて、自分自身の可能性を最大限に活かせる仕事を探すことを「SELF TURN」と定義。企業規模、報酬、場所にとらわれず自分自身に向けての働き方への問いかけを促し、個人の観点からの働き方改革を推進する。また一方で、人材が集中する首都圏から地方への人材流動を促進することで、地方企業の活性化を図る。

 プロジェクトは、地方創生を目的として政府主導で設立された日本人材機構が主体となって推進。地方における社会課題の解決を目指す社会起業家の支援を行ってきたNPO法人ETIC.は、イベントなどの開催を通じてコミュニケーションをサポートする。インターネットの転職プラットフォームを運営してきたビズリーチは、人材ニーズのある地方企業や求職者にサービスを提供するほか、SELF TURNプロジェクトの啓発メディアにコンテンツを提供していくという。パートナー企業は今後も増やしていくとのこと。

参画企業各社の役割
参画企業各社の役割

大都市の管理職と地方の経営者、双方が抱える課題

 日本人材機構の代表取締役社長である小城武彦氏は、このプロジェクトを立ち上げた背景として、地方の中小企業における経営幹部人材に対する高いニーズと、東京で働く管理職人材が抱える課題を挙げた。

 企業の生産性向上のためには、事業モデルの見直しや新規事業の創出などが求められるが、それを推進するためには社内には存在しない知見や経験、そして経営観点で事業を考えることができる人材が必要となる場合がある。そうした経営幹部人材が必要であるにも関わらず、地方の中小企業では少子高齢化の影響による人材不足が深刻で、事業モデルの変革を目指して孤軍奮闘する経営者と共に経営を担う、幹部人材に対するニーズが高まっているのだという。「しかし、実際には大都市部から地方への経営幹部人材の流動はほとんどない」(小城氏)。

SELF TURNプロジェクト発足の背景を説明する小城氏
SELF TURNプロジェクト発足の背景を説明する小城氏

 一方、東京で働く大手企業の管理職従事者1640人を対象に日本人材機構が実施した調査では、56%が「これまでのキャリアをやり直せるとしたら転職を選択したい」と回答しており、多くの管理職従事者が今の仕事に対して十分なやりがいを感じていないことが明らかになっている。こうした現状に対して働き方の見直しを促すことで、ポテンシャルの高い経営幹部人材を必要としている地方の企業とのマッチングを図っていくという。

 「東京の管理職層の2人に1人は“会社を出れば良かった”と感じている。この状況は非常にもったいない。こうした意向の人の1割でも2割でも地方に来れば、地方経済はもっとよくなるはずだ」(小城氏)。

 これまで地方への転職は「Uターン」「Iターン」などさまざまなキーワードで促進が進められてきたが、小城氏は「なかなか簡単に人は動いてくれない。これまでと異なるアプローチが必要だ」と提言する。「働き方改革を追い風として、自分にとって“なぜ働くのか”、“働くとは何か”という問題提起をすることで、地方への転職を考えるきっかけを生み出せるのではないか。自分自身(セルフ)に立ち戻って、自分らしい働き方を日本全国から探すことを促したい」(小城氏)。

 自分が本当に実現したい働きがいとは何か、どのような人生に幸せを感じるのかを再考させることで、その答えのひとつとして地方でポテンシャルの高い仕事に就くという選択肢を提供していきたい考えだ。

 小城氏によると、日本の県内総生産約508兆円(平成25年)のうち、約6割にあたる314兆円は地方で生み出されているという。個人の働き方の見直しを啓発することを通じて、地方への人材流動を活性化させることで働き方改革と地方創生の双方の実現を期待できる。「日本の経済の6割は地方で動いているということ。政府は今後GDPを600兆円まで増やす政策を進めており、その大半は地方から生まれるのではないか。地方には大きな成長ポテンシャルがあり、地方創生は日本経済の希望だ」(小城氏)。

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