地方への人材流動を促す「SELF TURNプロジェクト」が発足 - (page 2)

“自分の人生を自分で決める”という可能性を自ら閉じている

 パートナーとして参画する、NPO法人ETIC.の代表理事である宮城治男氏は、「SELF TURNという言葉は、起業家の生き方と近いものを感じる。起業家は、いわば“自分らしい働き方を自分で作り出している人”。彼らの支援を通じて、自分らしく働くといことを世の中に発信していきたい」とコメント。

 また、日本の社会が豊かさを手に入れた一方で、人々が自由に人生の選択肢を考えることができない状況が生まれているという課題を提起し、「SELF TURNは、当たり前になるべき言葉であり、この言葉が使われなくなる社会を作る必要がある。世の中で誰かに決められた生き方をするのではなく、本来は“自分の人生を自分で決める”という自由の中に生きているはずだ。しかし、その可能性を自ら閉じてしまっている」と語った。

働き方を巡る課題について考えを述べる宮城氏
働き方を巡る課題について考えを述べる宮城氏

 「多くの人は、大学のときには大志を抱き、自由にやりたいことをやっているのに、皆4年生になると足を洗って同じスーツを着て大企業の門を叩く。そして就職すると出てくるのは仕事への不満や会社の愚痴ばかりだ。これだけ豊かな社会に育っても、結果的に不自由な生き方を選ばなくてはならないのは、あまりにもバカバカしい」(宮城氏)。

 宮城氏は、社会課題の解決に挑む社会起業家の支援を通じて、人生の選択肢を自ら作っていくという可能性を示すことで、“自分らしい自由な生き方を考える”ということを促していきたいとしている。具体的には、起業や転職の支援だけでなく、副業や兼業の機会創出や短期的に地方での課題解決に挑むプログラムを用意することで、自分自身を見つめなおし社会や地域を知るプロセスを生み出していきたいとしている。

 「6年前の東日本大震災では、多くの人が“自分は何のために生きていくのか”を考えさせられた。多くの人がこの課題意識に気が付いており、“今の仕事で本当に満たされるのか”という疑問を持っている。しかし実際には、このような疑問を持っている人の多くが具体的な一歩に踏み出せていない。社会の意識変化と社会基盤の間に大きなギャップが生じているのが現状で、プロジェクトを通じて多くの人にきっかけを作りたい」(宮城氏)。

 なお、会見では政府の働き方改革担当大臣である加藤勝信氏が来賓として登壇し、SELF TURNプロジェクトが、政府の働き方改革が目指す“一人ひとりの事情に応じた多様で柔軟な働き方を促進し、単線型の日本のキャリアパスを変えていく”という方向性に沿うものだと期待を寄せた。

働き方改革担当大臣である加藤勝信氏
働き方改革担当大臣である加藤勝信氏

 その上で加藤氏は、「働き方改革は、日本の企業文化、ライフスタイル、働くという考え方そのものに手を付けるもの。企業の理解と変革を促すと同時に、個人においても“自分らしく働くとはどういうことか”を問いかけていくことは、働き方改革の大きな推力になる」とコメント。政府が進めている企業への意識改革の促進と今回のプロジェクトが進める個人の意識改革の啓発が、働き方改革の両輪をなすとの認識を示した。

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