たとえば、お客さまサポートをするコールセンターの改善や、ウェブサイトにおけるサービス説明の改善などによる“分かりやすさ”の担保は、お客さまからのフィードバックを受けて徹底して実施してきました。お客さまの声を元にサービスを即座に改善して、さらにそれに対するフィードバックに対し、スピード感をもって検証するという高速PDCAを進めているのです。単に「楽天ブランドだから」「楽天スーパーポイントとの連携があるから」ではなく、サービスの本質的な価値を認めていただくために徹底的にブラッシュアップしていくことが最も重要なのです。
サービスの改善は、まだまだ継続しなければなりません。「サービスは完成した。今後はオリジナリティを出すために楽天グループのサービスと連携させて、楽天経済圏(楽天グループ企業のパートナーエコシステム)のメリットを生かしていこう」ではないのです。もちろん、楽天経済圏のメリットは活かしていくことになるでしょう。しかし、それがない状態でお客さまに受け入れてもらえる理由は何かをしっかりと肝に銘じて、サービスを良くしていかなければならないと思います。
――今後、楽天経済圏のメリットを活かしてどのようなオリジナリティや差別化を追求するのでしょうか。2016年を振り返ると、他社はコミュニケーションアプリの通信に課金しない“カウントフリー”を導入するとなど、さまざまな差別化の動きがありました。
大尾嘉氏:今までお話した通り、これまでの楽天モバイルは価格、端末、お客さまサポート、サービスの各方面で“Must Have”(必ず整えるべき価値)をより高い品質で提供するべく改善してきました。今後は、楽天グループならではの“Wish To Have”(なくても困らないが、あれば便利な価値)を提案しなければならないフェーズに入っていくのではないかと思います。
まだ具体的な話はできませんが、2017年に入ってからは楽天グループの各サービス間のシナジーをどのように出していくかを強く意識するようになりました。私自身は楽天モバイルの事業責任者としてサービスの改善に携わりながら、一方で他のサービスの事業責任者や役員と、どのようにサービスを組み合わせれば楽天グループとしてお客さまに良質な価値を提供できるのかというテーマでの議論がもの凄く増えています。
楽天グループにはショッピング事業だけでなくデジタルコンテンツ事業もあれば、カード事業、銀行事業、ペイメント事業といったFinTech領域でもさまざまな事業があります。いま多くの事業領域でさまざまなアイデアが生まれており、今後は新たなサービスとして発表できるものも出てくるのではないでしょうか。
――これまでは楽天スーパーポイントというエコシステムで連携していたサービスを、より深く連携させるというイメージでしょうか。
大尾嘉氏:楽天グループが展開しているさまざまなサービスは、まだまだ横の連携ができる余地があると思うのです。楽天のサービスを使い込んでくださっているファンの方は、楽天サービスのメリットをどうすれば最大限使いこなせるかを理解しているかもしれませんが、多くの一般的なお客様は、まだ楽天の一番上手な使い方を知らないのではないでしょうか。楽天グループのサービスが多岐に渡り過ぎてしまっているがゆえに、きちんと分かりやすく説明・提案ができていないのです。こうした課題を解決できるような役割を、楽天モバイルとして進めていければと考えています。
――モバイルファーストの時代、マイクロモーメントの時代と言われる中で、楽天モバイルの端末が楽天グループ各サービスの“ハブ”になると可能性があるいうことですね。
大尾嘉氏:スマートフォンはもはや手放せない存在になっていますよね。PCよりも、テレビよりも身近にあるインターフェースなのです。ということは、このスマートフォンに出現するさまざまなサービスを通じて、ユーザーの生活が豊かになればそれは大きな価値になります。そこを楽天グループとしてどこまで追求できるのかを考え、挑戦していく必要があると思います。
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