――スマートフォン端末のラインアップは楽天モバイルの大きな武器だと思いますが、一方でスマートフォンの普及とともにユーザーの端末への関心は薄れているようにも感じ、大手キャリアは新モデルのラインアップを大きく減らしてきている現状があります。今後の端末ラインアップの戦略はどのように考えているのでしょうか。
大尾嘉氏:端末バリエーションの幅は維持していく予定です。お客さまの中には、ハイエンドモデルが好きな方、過不足なく使える端末があれば十分だという方、日本メーカーのモデルが好きな方、グローバルモデルが好きな方など、幅広いニーズがあります。今後も各メーカーの新製品はいち早くキャッチアップし、多様なニーズに対応できるラインアップを維持していきたいと考えています。
我々は、お客さまの端末への関心は薄れてはいないし、今後も販売数は伸びていくと考えています。というのも、端末ごとの売れ行きを見てみると、どれか特定のモデルが圧倒的に売れているのではなく、ハイエンドモデルから低価格モデルまで、すべての端末がバランスよく売れているのです。
お客さまは(特定のメーカーやブランド、価格だけで判断せず)端末の特徴をしっかりと確認・検討していますし、「これが欲しい」という明確な動機を持って端末を購入しています。「端末ラインアップ=お客さまに対する選択肢」を維持しなければ、こうしたお客さまの“選びたい”というニーズに応えることができず、お客さまに迷惑をかけてしまいます。ですから、ラインアップの維持は当然なのです。
――法人向けの販売も今後は強化していくかと思います。どのような狙いがあるのか教えてください。
大尾嘉氏:法人部門は現在の組織の中で一番新しい部門ですが、実はこれまでも楽天市場の出店者や中小企業の経営者から「法人名義で契約できないか」という問合せは多数寄せられていて、全く対応しきれていなかったことが設置の背景にあります。
こうした課題に応える形で、やっと法人向けの販売体制が整ったのが今の状況です。法人向けのウェブサイトを立ち上げたところ、その日から多数の問い合わせが寄せられており、ニーズの高さを感じています。問い合わせへの対応が追いついておらず、お待たせしておりご迷惑をお掛けしています。今後は体制を増強していく予定です。
――中小企業の小口契約を対象とした販路というのは、もしかしたらブルーオーシャンなのかもしれません。
大尾嘉氏:大手の代理店などは大口取引を対象としていたり、携帯電話の法人契約手続きそのものが分かりにくい部分もあったりします。しかし、コストを抑えながら法人名義の携帯電話回線を使いたいという中小企業や個人事業主のニーズは非常に高いということです。3月には法人向けに同一プランで契約している契約番号全体で、無料通話分(最大約216分)を分け合える通話定額プランを開始しました。通話定額プランは法人窓口への問い合わせで最も多かった要望で、それに対する答えとなります。
また、今後は楽天コミュニケーションズと連携したビジネスソリューションの創出も検討していきます。今回の法人向け通話定額プランも、楽天コミュニケーションズのモバイルチョイスというサービスとの連携で実現しました。法人向けにもスピード感をもってニーズに対応していきたいですね。
――最後に、今後の楽天モバイルの事業展開に向けた抱負をお願いします。
大尾嘉氏:我々にとって最も嬉しいのは、楽天モバイルでお気に入りの端末を見つけてもらい、結果的に「選んでよかった」と思ってもらえることだと考えています。そういうお客さまを一人でも増やしたいですね。これまでさまざまなインターネットサービスを生み出してきた楽天の強みを活かして、競争の激しい携帯電話業界の中で今後も果敢に攻めていきたいと思います。
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