KDDIは2月18日、長崎県佐世保市のハウステンボスにおいて、モバイル通信を活用した「スマートドローン」のアイデアソンやドローンレースへの協賛など、ドローンを中心としたハウステンボスとの新たな取り組みを説明した。
ハウステンボスはロボットを起用し変化し続ける「変なホテル」や「変なレストラン」など、最新技術を積極的に取り入れている。KDDIの商品・CS統括本部 商品企画部長である松田浩路氏は、「新技術をいかにビジネスに活用するかを常に考えるだけでなく、(実際に事業として)やっていることがリスペクトする部分だと思っている」と語り、ハウステンボスの取り組みを高く評価していると説明する。
KDDIも、2016年にスマートドローンのプラットフォームを構築する「スマートドローン構想」を発表したほか、VRなどの新技術を活用した取り組みを積極的に進めている。さらに同社は、ハウステンボス内で指紋認証を活用した独自の電子マネー「ハウステンボスマネー」に技術提供しているリキッドにも出資しており、両社にはいくつかの共通点があったという。
そこで両社の得意分野を生かし、ハウステンボスが新技術を活用したサービスを提供し、KDDIが技術でその下支えをするという形で、連携を進めているとのこと。両社の他にも多くのパートナーを募って取り組みを進めており、「お客様にワクワク感や嬉しさを届けていきたい」と松田氏は話す。
両社による取り組みの1つが、ドローンの利用や普及の拡大に向けた施策だ。2月18日から19日にかけて、日本ドローンレース協会とハウステンボスは、日本初の夜間ドローンレース「ジャパン・ドローン・チャンピオンシップ in ハウステンボス」を開催し、そこにKDDIもオフィシャルスポンサーとして参加した。ドローンレースの魅力を伝えるため、会場に50台のタブレットを用意し、レースに参加する3機のドローンからの映像をリアルタイムで配信した。
今回、KDDIはあくまでタブレットの提供と映像配信にとどまっている。だが、将来的にはLTEより高速・大容量・低遅延となる5Gを活用し、よりクリアな映像をリアルタイムに配信したり、5Gのネットワークを活用したリアルタイム操作なども実現したいとしている。
また、KDDIはハウステンボスにおいて、ドローンにより来場者をイルミネーションとともに動画で撮影するサービスの実証実験を進めている。ドローンは飛行地域が限定されてしまうことから、今後も“広大な私有地”ともいえるハウステンボスを活用して、実証実験などを進める方針だとした。
KDDIは今回の発表に合わせ、2月18日から19日にかけてハウステンボスにおいて「スマートドローンアイデアソン」も実施した。KDDIはモバイル通信を活用したスマートドローンのプラットフォーム開発を進めているものの、その活用を考える上ではKDDI単独では限界があると考えているそうだ。
そこで、KDDIの中でスタートアップ支援を手がける「KDDI∞LABO」と、先進的な体験ができる実証実験のフィールドを持つハウステンボスを活用し、ドローンに興味がある企業や個人が参加してアイデアを作り出すイベントを実施するに至ったと背景を説明した。
KDDI∞LABOを取り仕切る、新規ビジネス推進本部 戦略推進部の江幡智広氏は、これまでのKDDI∞LABOによるスタートアップ支援体制を改めて説明。KDDI∞LABOは今年6年目を迎えるが、すでに54チームの卒業生を輩出し、うち4チーム・4社にKDDIから出資も実施しているとのこと。
現在はKDDIだけでなく、多くのパートナー企業や地方自治体、そして大学なども巻き込んだ大規模なスタートアッププログラムとなっており、ベンチャーと大手企業などが議論する場を多く設けるなど、単なるベンチャー支援にとどまらないサポート体制を敷いているという。
そこで今回のアイデアソンでは、KDDIのアセットに加えてハウステンボスという“場”を活用することで、これまでにないスマートドローン事業を考えることを目的にしているという。アイデアソンには、ドローンのビジネスを実施・検討している企業や起業家だけでなく、学生などからも応募があったとのことで、幅広い層の人々からアイデアを募りたいと江幡氏は話す。
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