2020年に向け、すでに動き出している業界の1つに宿泊業が挙げられるだろう。訪日外国人観光客は増加の一途をたどり、東京オリンピック、パラリンピックの開催が発表された2013年には1000万人を超え、2015年には2000万人に迫る勢いだ。
一方で対応を迫られているのが、訪日外国人観光客を受け入れる宿泊施設だ。部屋数の増加などはもちろん、予約体制の整備から、館内表示のインフォメーションの拡充、また精算時の時間短縮、施設内における買物での支払い方法まで、幅広い改善が求められている。
アルメックスは、「宿泊施設が抱える課題」に、運営管理システムや自動精算機、客室のセキュリティシステムなどホテル運営におけるトータルソリューション製品とサービスを提供することで、課題解決をサポートする企業。2020年に向け、宿泊施設の“おもてなし”がどう変わるのかを、アルメックス代表取締役社長である馬淵将平氏に聞いた。
アルメックスは、1966年に設立され、2016年の6月で創業50周年を迎える。2005年からUSENのグループ会社として運営している。自動精算機ブランドとしての歴史は長く、この業界では70%以上のシェアを持つ。
「2020年に向けて、訪日外国人の方が増えることが予想される。その中で私たちは“お待たせしないおもてなし”を提案していきたい」とアルメックス代表取締役社長である馬淵将平氏は話す。
現在、ホテルや旅館では、カウンター越しによる対面でのチェックイン、チェックアウトがほとんどで、関連業務をすべてスタッフが対応する場合、かなりの人的リソースが必要になっている。アルメックスではこのチェックイン、チェックアウトの手続きを自動精算機で行うことを提案している。それにより、ホテル利用者の待ち時間を短縮し、ホテルのスタッフもカウンターの中にとらわれず、ロビーでの接客業務などにあたれるという。
「現時点で、訪日外国人を含めた宿泊需要に対し、供給率は70%程度。同時にホテル業界の人手不足も顕著に出てきており、接客サービスの維持や向上が難しくなってきている」と馬淵氏は続ける。
課題の1つは言語だ。訪日外国人のおもてなしとして求められるのは、英語もしくはお客さまの母国語での対応だ。しかしそのすべてをカバーするのはかなり難しい。アルメックスが提供する自動精算機は、日本語、2つの中国語、英語、韓国語の5カ国語をカバーするマルチリンガル。最も対話が必要になるチェックイン、チェックアウト時の不安を解消する。
ただ、対面での接客に慣れている利用客にとって自動精算機でのチェックイン、チェックアウトは味気なく感じられるかもしれない。それに対し馬淵氏は「優先順位の問題。ビジネスで訪れたビジネスパーソンならもちろん、時間がかかることをデメリットと感じるお客さまもいらっしゃる。特に外国人のお客さまは、対面でのやりとりを“丁寧すぎる”と感じていらっしゃる場合もある。一概には言えないが、時間をかけずに精算ができる自動精算機の環境を用意することで、ストレスのない宿泊施設を提供していきたい」と、ニーズの変化を指摘した。
現在「本当に局地的な導入」と馬淵氏は話すが、旅館での自動精算機の導入も始まっている。「対面での接客が基本の日本旅館で、精算機を置く機運がでてきたことは、私たちも大変驚いている。その根本にあるのは人手不足とお客さまの多様化。筐体は旅館のロビーにも合うようなデザインを提案するなど、新しいニーズにも対応していきたい」と意欲を見せる。
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