「HoloLens」発表から2年、MSのARゴーグルが目指す先--開発者が語る

Gabriel Sama (CNET en Espanol) 翻訳校正: 川村インターナショナル2017年02月13日 07時00分
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 発明家。ビジョナリー。未来学者。

 それがAlex Kipman氏を表す言葉だ。Kipman氏は、Microsoftの最も野心的なプロジェクトの1つである拡張現実(AR)ゴーグル「HoloLens」の統括者である。モーションコントローラ「Kinect」での功績が認められ、2011年にMicrosoftの「Hall of Legends」への殿堂入りを果たした。HoloLensは、そんな同氏にふさわしい挑戦であるように思われる。

 しかし、ブラジル生まれのKipman氏が2015年1月にHoloLensを発表してから2年が経過した今も、同ゴーグル(装着者に見える現実世界の風景の上にバーチャルな3D画像を重ねる)はまだ消費者向けに発売されていない(開発者は「HoloLens Development Kit」を3000ドルで購入可能で、企業は「HoloLens Commercial Suite」を5000ドルで入手できる)。

 CNET en EspanolのGabriel Sama記者がワシントン州レドモンドにあるMicrosoftの本社でKipman氏にインタビューし、HoloLensの未来や消費者向け端末としての潜在的可能性、ARに関するMicrosoftの最大の課題について語り合った。

 以下はそのときのインタビュー内容を編集したものだ。

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2015年1月21日、「Windows 10」のプレスイベントに登壇したAlex Kipman氏。「Windows Holographic」と「HoloLens」を発表した。
提供:Nate Ralph/CNET

--HoloLensの現状はどうなっていますか。

 需要と事業の方向性に関して言えば、われわれは今、9カ国で事業を展開しています。欧州の多くの国々に進出しており、先頃、日本でも提供を開始したばかりです。2016年12月には、中国への進出も発表しました。(それは)極めて興味深いことです。なぜなら、ある意味で、この複合現実(MR)の世界は中国で最初にメインストリームになろうとしているからです。

--あなたが複合現実について話すとき、それを聞いた人々は何を想像しますか。

 今、2つの世界が存在しています。あなたや私が住む世界と、ビットだけでできたデジタルの世界です。複合現実は、この2つの世界が交わる場所です。とても不自然なデジタルのインターフェースを使わなくても、空間と時間を動かすことが突然可能になります。そして、この魔法が、もはや以前のように2Dスクリーンの後ろに閉じ込められてはいないという状態です。

 あなたはその場にいないのに、すべての感覚がその場所で起きている情報で満たされるような、高度な双方向性と知覚が突然実現したら、どうなるでしょうか。あなたはサンフランシスコにいながらにして、(レドモンドにいる)私の前のソファに座り、今ここで実際に話しているのと同じレベルのつながりを享受することができます。ある意味で、それが複合現実の価値提案です。これをうまく実現できれば、新たに教えるという必要がなくなります。ここに座って私と会話をするのがどんな感じなのか、あなたは(既に)ご存じですから、それを学習する必要はありません。より人間らしい方法でテクノロジとふれあう、ということが重要なのです。

--それはうまく実現されなければならない、とあなたはおっしゃいました。私の初めての仮想現実体験は、あまり好印象ではありませんでした。気分が悪くなったからです。HoloLensで難しいことは何ですか。

 それは3つあります。1つ目にして最も重要なのは、端末を装着するときに、身体的な不快感があってはならない、ということです。2つ目は、没入的でなければならない、ということです。つまり、本当にその場に物が存在するように感じられなければなりません。そして最後は、私自身を変化させて、ほかのメディアや端末では不可能なことをできるようにしなければならない、ということです。それは素晴らしい初体験であり、それこそ、われわれがHoloLensに組み込もうとしたことです。

--仮想現実(VR)や拡張現実、複合現実について話すとき、私たちは現実という言葉を使います。あなたはどれだけ現実に近づけたいと考えていますか。

 複合現実は、私たちがテクノロジとふれあう新たな手段です。しかし、人工知能(AI)を頭脳として利用する複合現実について話す場合、(私たちが話しているのは)コンピューティングの未来です。哲学的な話をすると、その目標は、基本的に新たな種類の会話を生み出すとことです。そこでは、私たち人間が一緒に時間を過ごしてはいますが、周りにはユーザーが意識することのない、透過的なテクノロジがあります。それは本質的に、私たちがより多くを行い、より多くを成し遂げ、より創造的になることを可能にします。

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