戴社長が社員に伝えた2017年の必達目標と変革--「技術のシャープ」復活へ

技術開発に投資、「社長ファンド」開始へ

シャープの代表取締役社長である戴正呉氏
シャープの代表取締役社長である戴正呉氏

 シャープの代表取締役社長である戴正呉(たい・せいご)氏は1月23日、社内イントラネットを通じて、同社社員に対するメッセージを発信した。これまでにも社員向けのメッセージを何度か発信してきたが、2017年に入ってからは今回が最初のメッセージとなる。

 「成長への転換点、反転攻勢に向けて競争力を高めよう」と題したメッセージでは、2017年4月からスタートする新年度に向けた重点的な取り組みについて説明。「技術のシャープ」の復活を目指した技術開発投資の拡大や、ASEANでの事業拡大に向けて戦略を再構築することなどが盛り込まれた。

 メッセージの冒頭で戴社長は「新年度(2017年度)を控え、私たちは大きな転換点にさしかかっている。今、取り組むべきことは、長期的な視点に立って競争力を磨き直し、反転攻勢に打って出る基盤を構築することである」と位置づけた。

 2017年度の事業推進体制としては、現在の20のビジネスユニット(BU)を、約50のサブビジネスユニット(Sub-BU)に細分化して、4月からSub-BU単位で管理することで、社員の自主性を高め、課題の早期抽出とその解決を積み重ねる。これにより事業拡大を加速するとし、「Sub-BUのリーダーには、強いリーダーシップを発揮し、事業拡大を成し遂げ、BUへの昇格を目指してもらいたい」とした。

 また「経営基本方針で示した『シャープは開発と販売に注力する』を原則に、事業の成長を加速する組織体制のあり方、販売拠点や生産拠点の最適化、人員の最適配置など、さらなる事業推進体制の見直しを進めていく」とした。

 今回のメッセージのなかで明確にしたのが、技術投資の拡大を進めることだ。戴社長は、「シャープの競争力の源泉は独自の技術力にあり、これにさらに磨きをかけていくことが、長期的な成長を実現する上で、極めて重要」とし、投資を積極化させる分野として、IoT関連技術、有機EL、次世代ディスプレイ、8K エコシステム関連技術をあげ、これらを「将来のシャープの核となる技術」と位置づける。

 さらに、ヘルスケア・メディカル事業の分社化や、蓄熱材料を活用した新たな事業に挑戦する「TEKION LAB」の創設、新分野の技術を生み出した技術者の起業を支援するファンドの創設などにも言及。「事業の立ち上げを加速していくとともに、成果を上げた技術者へのインセンティブの拡充も進めていく」とした。

 あわせて、重要な技術開発には「社長ファンド」を充当することを公表。「技術への積極的な投資を積み重ね、再び“技術のシャープ”を確固たるものにしていきたい」と述べた。

ASEANは2017年一気呵成に攻めに転じる

 ASEANでの事業拡大についても言及した。「ASEANではここ数年、期待ほどの成果が上がっていない」と反省しながらも、「シャープが持続的な成長を果たすためには、ASEAN、中近東での事業拡大が欠かせない。海外事業を拡大し『輝けるグローバルブランド』を実現していく上でも、ASEANは極めて重要な市場だ」と発言。「いま一度、ASEAN拡大戦略の再構築を進め、2017年度は一気呵成に攻めに転じていく」とした。

 具体的な取り組みとして、2017年1月5~7日までの3日間、大阪府堺市の本社に、事業本部長、各販売会社の社長、責任者が集まり、「ASEAN販売拡大会議」を開催し、ASEAN各国の戦略や実行体制、業績目標を確認。今後、より緻密な戦略やアクションプランに落とし込み、2017年度の販売拡大につなげる姿勢をみせた。

 1月19日には、2016年12月に設立した「夏普科技(深セン)」に、中国、ASEAN市場向けの家電製品における研究、開発センターを設立することを発表。中国、ASEAN地域の中心に位置する立地を生かすとともに、隣接する鴻海グループの研究開発拠点のリソースを活用して、ユーザーニーズにフィットした製品の創出に取り組むことも盛り込んだ。


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