Steve Jobs氏が2007年に初代「iPhone」を発表したとき、その革命的な全面タッチスクリーンのデザインによって、「Moto Q」や「Palm Treo」「Nokia E62」「BlackBerry Pearl」などの当時市場で有力だったキーボード搭載携帯電話は、完全に打ちのめされた。
その当時は、NokiaとBlackBerryがスマートフォン分野の旗手で、Appleは大胆不敵な新参者だった。現在は、iPhoneが好調な売り上げと拡大する世界市場シェアで10周年を祝う一方、モバイル分野のかつての王者たちは、自社の重要性や存在感が薄れていた何年ものときを経て、今、自らのブランド名を存続させるべく、めったにないわずかなチャンスに立ち向かおうとしている。BlackBerryは「Mercury」という名前になるとうわさされるスマートフォン(同社の最大の特徴である物理キーボードを搭載する最新端末)を、Nokiaは「Nokia 6」(先頃、中国向けにリリースされたミッドレンジスマートフォン)をそれぞれ用意した。
いずれのスマートフォンも、2月にバルセロナで開幕するモバイル見本市「Mobile World Congress」(MWC)で全世界向けに発表されることが予想される。両社の成功の可能性は、それらのスマートフォンの購入に興味のある人々が、端末の価格と位置付けをどう判断するかにすべてかかっている。
面白いのは、NokiaもBlackBerryも、自社名を冠したスマートフォンを実際には自社で作っていないということだ。Nokiaブランドを使用する権利はHMDが所有している(端末の製造は、Foxconnグループの子会社であるFIH Mobileが担当)。BlackBerryは今でも「BlackBerry Hub」のようなプロプライエタリなソフトウェアを所有しているが、TCLという企業がBlackBerryブランドのスマートフォンを製造する権利を取得済みだ(TCLは、米国において先頃「Roku TV」で成功を収めた中国企業で、2016年には「Alcatel IDOL 4」などの端末も製造している)。
これらの企業が、NokiaブランドやBlackBerryブランドの浮沈の鍵を握ることになる。
iPhoneがすべてを変える前、NokiaとBlackBerryはステータスシンボルだったが、サードパーティーのソフトウェアに関しては後れをとっていた。苦闘するNokiaはMicrosoftと提携して「Lumia」シリーズを開発したが、うまくいかなかった(MicrosoftはNokiaブランドを10年間使用できる権利を買収したが、5年でそれを放棄した)。一方、BlackBerryは、独自の「BlackBerry OS」が失敗に終わった後、Androidを採用し、同OSに独自のセキュリティソフトウェアを搭載した。MercuryにもそのOSが搭載される。
Nokia 6はNokiaブランド初のAndroidスマートフォンだが、最初にリリースされた市場である中国では、「Google Play」が無効化されている。MWCでの発表時に、われわれはGoogleの機能をすべて利用できるNokia 6、そして、Androidを搭載するNokiaスマートフォンの実際の動作を確認できるだろう。
CNET Japanの記事を毎朝メールでまとめ読み(無料)
ものづくりの革新と社会課題の解決
ニコンが描く「人と機械が共創する社会」
ZDNET×マイクロソフトが贈る特別企画
今、必要な戦略的セキュリティとガバナンス