新型ゲーム機「Nintendo Switch」をタブレットと呼んでもらっては困る。
また、この変形するゲームデバイスが任天堂の人気携帯ゲーム機「ニンテンドー3DS」の後継機になるとは考えないでほしい。Nintendo of Americaの社長Reggie Fils-Aime氏は、米CNETとのインタビューでこのように語った。
任天堂がSwitchで勝ちを狙おうとしている戦いの舞台は、これまでの数十年と変わらない。リビングルームで繰り広げられる戦いだ。
同社は米国時間1月12日、300ドルのSwitchを発表し、このモジュール型デバイスが家庭用ゲーム機でもあり、携帯ゲーム機でもあり、タブレットでもあると宣伝した。
Switch本体を「Switch Dock」に収納したまま2つの「Joy-Con」コントローラを取り付け、その一式をテレビにつなぐと、大画面でプレーできる。また、独自のディスプレイを備えた本体をDockから取り外してJoy-Conを直接取り付ければ、携帯ゲーム機に早変わりだ。本体のキックスタンドを使ってタブレットのように立て、Joy-Conを接続すると、持ち運びできる小型のテレビゲーム機になる。
こうした変形機能を持ち、持ち運びやすいとなれば、Switchの狙いは携帯型ゲーム機市場の攻略で、任天堂自身の3DSの売り上げにさえ食い込むのではないかと思えてくる。だが、3月初めに発売予定のSwitchは何よりもまず家庭向けの製品だとFils-Aime氏は強調した。
「フォームファクタからすれば、そう(タブレットのように)見えるかもしれない。だが、どこにでも持って行って誰とでも遊べる家庭用ゲーム機だ」(Fils-Aime氏)
任天堂としては、このメッセージを消費者にしっかり伝える必要がある。2012年に発売した前回の家庭用ゲーム機「Wii U」は、2006年発売の初代「Wii」の大ヒットには遠く及ばなかった。同社はその間、3DSポータブルプラットフォームで堅実なビジネスを確立し続け、さらには「iOS」や「Android」搭載のモバイルデバイス向けに「Pokemon GO」「Miitomo」「スーパーマリオ ラン」などの投入を試みている。
Fils-Aime氏は、3DSの生産終了を危惧しているファンを安心させるために、3DS用ゲームの開発はこれからも続くと述べた。2017年春と夏のラインアップが、6月に開催のゲーム見本市E3で発表される予定だという。
任天堂はさらに、Switchで別のターゲット層も想定している。
任天堂はファミリー向けゲームの企業という評価があるだけに、本格的なゲーマーがMicrosoftの「Xbox One」やソニーの「PlayStation 4」といったゲーム機に流れてしまうこともあった。Switchではもっと魅力的で競争力のあるゲームを揃え、そうしたプレーヤー層の奪還を狙っている。
2012年に公開されたWii Uの最初の広告では、子どもや家族が中心だったが、Switchの最初のプレビューに子どもの姿はない。
「価格や大規模なライブラリを考えると、『ゼルダの伝説』にしても『マリオカート』にしても『ゼノブレイド』にしても、Switchを最初に購入するのは可処分所得のあるヤングアダルト層になるだろう」。Fils-Aime氏はこう述べる。だからといって、任天堂が自社の中心的なユーザー層を切り捨てようとしているわけではない。今後も3DSで低年齢層に照準を合わせていくだろう。
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