01は、徹底的にこだわったハードウェアの上で成立している、とBarbaric氏は力説する。最大の問題は、すべての複雑なコンポーネントを見せないようにすることだった。
「01には非常に多くのコンポーネントが備わっている。計測する機構とスマートフォンと接続するBluetooth、バッテリ、節電の仕組みも備える。しかし、ペンとしてのバランスも優先しなければならなかった」(Barbaric氏)
機能を持ちながらペンとしての機能も両立させているところが、01のエンジニアリングの最も面白い点だ。ペンを紙に走らせると自然に筆を運ぶことができ、滑らかそのものだった。
計測機能については、アナログをデジタルに変換するための苦労があったという。
「回るリングはギアシステムにつながっており、そこから磁力センサが動作する。アナログの機構を非常に正確かつ慎重に作り上げた。内部が正確なのに、計測が不正確では元も子もない。そこで、回転して計測するローラー部分は、30種類の異なる素材の中から、あらゆる場面で滑らないものを選んだ」と明かした。
01は、アプリと連携し、計測した長さはアプリを通じて表示できる。前述の通り、計測後にmmまたはインチなど単位を変えることも可能だ。
われわれが日常生活を送る中で、長さを測るチャンスは少なくない。家具などの長さを測って、家のスペースにピッタリなものを買いたい、というニーズもあるだろう。アプリでは、計測した複数のデータを写真付きで共有する機能を備えており、これは家族間での利用に重宝しそうだ。
たとえば、家族が一緒に出かけられない場合でも、家の棚の幅や高さ、奥行きを計測した上で、家具店に行けば安心だ。また、01で計測したデータを写真付きでレポートしてもらうこともできる。買ってきた家具が合わないという心配はなくなるだろう。
また、デザイナー向けの機能も備わっている。「建築家などのプロ向けに、縮尺機能をアプリに用意した。図面や模型などを01で計測すると、アプリが自動的に縮尺を加味して距離を表示してくれる機能だ。これで、計測した長さをいちいち計算しなくても、直感的に知ることができる」
デザイナーなどのプロ向けに開発したと説明するBarbaric氏だが、Indigogoでの非常に良い反応とコメントから、多くの気づきを得たという。
「メジャーを普段から持ち歩く人は少ないが、完全にフィットするモノを見つけるための道具を持ちたい、というニーズを発見できた。ペンは皆持ち歩いているので、持ち物として選びやすかったと思う」と述べた。
手応えをつかんだプロダクトで、こんな未来を描く。
「メジャーというより、空間を数値化する、という感覚が強い。隙間があるから測る。そしてその隙間を埋めて行くことができる。01はそうしたことができる最初の道具。空間を数値化するツールへと、さらに成長させていきたい」と語った。
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