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アップル「Siri」の”おバカさ”を突くグーグルのハードウェア製品投入

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 前回に続いて、パーソナルアシスタント機能=「音声UI+人工知能(AI)」の話を記す。

サムスンも参入したAIアシスタントをめぐる競争

 サムスンの「Galaxy Note7」をめぐる問題の報道が盛り上がっていた10月はじめに、同社が Vivという米ベンチャー企業を買収したというニュースが一部で報じられていた。前回の記事で触れたGoogleのハードウェア製品発表会の翌日のことだ。

 また、サムスンがVivの機能を次の最上位機種に搭載してくるのではないかとの見方を伝えた記事も出ていた。

 Vivの技術や人事などに関する詳しい話は上記の記事などに譲ることにして、ここでは「VivがGoogleやFacebookからも買収オファーのあったベンチャー」であること、そういうベンチャーをサムスンが手に入れたことを指摘して話を先に進めることにする。

SiriのリードをふいにしたApple

 Vivを開発した人たちの多くは、もともとAppleが2010年に買収したSiriの中核メンバーだった。VivのDag Kittlaus氏という共同創業者のプロフィールをみると、「Siri(会社)をAppleに売却した後は一時期Appleで音声認識技術の開発を務めていた」といった記述もある。

 そのKittlaus氏がAppleに事業・技術を売却する前の2009年に、はじめて人前でSiriの技術を披露した時の映像がWSJのサイトに残っている。

(2009年のDカンファレンス=D7でSiriを披露するDag Kittlaus氏)

 このデモにホスト(聞き手)として登場しているWalt Mossberg氏(動画中の年配の男性のほう)は長年WSJでIT系の看板コラムニストとして活躍していた人物。その後自分たちで立ち上げたRecodeという媒体をベースにいまでも現役で活動を続けているが、そのMossberg氏が10月なかばに、Siriの現状に対するフラストレーションや今後に対する危惧感のようなものを述べたコラムを掲載していた。「なんでSiriはあんなにおバカに思えるのか」("Why does Siri seem so dumb?")という見出しのコラムである。

 「クレタ島(ギリシャ)の天気を知りたくて、『クレタの天気はどうなってる(“What is the weather on Crete?”)』とSiriに訊いたところ、イリノイ州にあるクレタという場所の天気を教えてきた(Google Nowはきちんと答えられたのに)」「『Tim Cookってどんな人?(“Who is Tim Cook?”)』と尋ねたら、Cookのプロフィール(bio)の代わりに、連絡先のなかにあるCookの情報を示してきた(Google Nowはこちらの意図を理解してWikipediaにあるCookの情報を教えたのに)」など、このコラムには現時点のSiriのおバカさを伝える面白い実例も出てくる。

 ただしMossberg氏の狙いは、そうした現状のあら探しにはない。Mossberg氏の狙いは次の2点を示すこと、すなわちAppleがSiri獲得でせっかく手にしていた音声UI+AI関連のアドバンテージをこの約5年間で無駄にしてしまったこと、その結果としてAppleがスマートフォン分野で確保した「ユーザーにとって最も身近な存在」の座を脅かされる隙を与えてしまっているように見えることだ。

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