マルケトの製品は選択肢の1つから“マスト”に--設立10周年でCEOが語るマーケティング

別井貴志 (編集部) 山川晶之 (編集部)2016年08月19日 08時00分
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 マルケトは、2006年の設立から10周年を迎えた。いまや、「マーケティングオートメーション」をリードする企業として、世界39カ国、4500社以上の企業にプロダクトが採用されている。

 同社は、より高い精度で広告をターゲティングできる「Ad Bridge」「オーディエンスハブ」を2015年に提供開始。2016年秋ごろには、アカウントベースドマーケティング(ABM)に関連した新機能のほか、企業の顧客とのタッチポイントを広範囲でカバーする新しいマーケティングプラットフォーム「PROJECT ORION」の提供を予定している。

 マルケトはこの10年間、企業としてどのように成長してきたのか、また、デジタルマーケティングはどのように変化してきたのか。今後の展望も含めて、同社CEOのPhil Fernandez(フィル・フェルナンデス)氏に話を聞いた。

デジタルマーケティングは選択肢の一つではなく、マストの施策

--これまでの10年間、企業としてどのように成長しましたか。デジタルマーケティングの変化も併せて教えてください。

 最も困難な時期は会社を設立した当初でした。当時は「マーケティングオートメーション」というカテゴリそのものが新しく、企業側もそれを必要でないと捉えていたため、ベンチャーキャピタルから資金調達するのも難しい状況でした。

MarketoCEOのフィル・フェルナンデス氏
MarketoCEOのフィル・フェルナンデス氏

 しかし、弊社の設立はiPhoneの発売、Twitterの設立と同時期であり、今後はデジタルやソーシャルなどの新しい時代が到来し、人々がそういったものに費やす時間が飛躍的に増加することはすでに予測していました。

 そこで、我々は自社の認知を広げるために自身の製品を活用し、Googleなどの検索エンジンを使用しているユーザーに、マルケトを見つけてもらう仕組みを構築しました。この取り組みは成功し、我々のツールで非常に効率的な営業ができることを確立したほか、この技術がどれだけの力を持つのか実証するため、我々自らケーススタディとなったのです。

 当初は中小企業に対して製品を販売していましたが、今ではGoogle、Microsoft、パナソニック、GEといったグローバルで展開する企業も、我々のカスタマーです。

--営業販売モデルがユニークである点を強調されていますが、成長に貢献したのは技術力にもあると思います。マルケトのソリューションがカスタマーに受け入れられたのは、営業面と技術面、どちらのほうが大きかったのでしょう。

 私の方で明確な答えを出すことはできませんが、技術に関して言えば、過去から今日まで業界で高い評価を受けています。特に、我々がこのカテゴリを発明しましたので、カテゴリ自体を定義できたのです。我々の製品は、市場で同じものはほかにありません。

 我々の製品のユニークな点は、マーケターたちがこの製品について学び、使用し、彼らのマーケティングプログラムをシームレスに、継続的に高度化できるところにあります。製品そのものも非常に斬新ですが、それだけでなく、実際にカスタマーが使える製品になっていなければいけません。この2つの要素が組み合わさることが成長につながったと考えています。

--この10年での一番の変化は、「デジタルマーケティングをやらない」という選択肢がなくなったところにあると考えています。

 おっしゃる通りで、マルケトを発売した当初は、デジタルマーケティングというのは企業側でやるか否かを選択できました。あくまでも一つの選択肢だったのです。しかし現在では、ペイドサーチがあらゆる企業で活用されているのと同様に、デジタルマーケティングもあらゆる企業で必須の施策になっています。我々の製品は、すべての企業において、もはや選択肢ではなくマストとなっています。これが過去数年においての大きな変化です。

デジタルサイネージとマルチデバイス、マルチモニタ化が進んでいます。マーケターはこのそれぞれの接点ごとに施策を展開しなければならない時代に突入しました。この現状をどのようにお考えでしょうか。

 過去において、マーケティングというのは新規の顧客を見つけるための施策としてとらえられてきました。今日の経営陣は、カスタマーエクスペリエンスの重要性を認識し、そのエクスペリエンスの向上こそが企業の競争力強化につながることを理解しています。そうすると、マーケティングだけでなく、カスタマーサービス、カスタマーサポートなど、さまざまなオペレーションで顧客との接点があることに気づくのです。

 また、非常に興味深い点ですが、我々が確立したカテゴリが、マーケティングという枠組みの中に位置づけられるのか、もしくはより広く位置づけられるのかはまだ分かりません。なぜなら、顧客との関係性があらゆるフェーズで生まれており、会社全体として顧客接点を管理することになるからです。例えば、小売の店舗、Eコマースなどあらゆるところで顧客との接点が生まれていますが、それを管理するのが今後マーケティング担当者なのか、IT担当者なのかは現段階では私でも分かりません。この先5年間で答えが見えてくるでしょう。

 そして、我々の製品は、顧客との接点で起こるあらゆるイベント、あらゆる事柄に対して耳を傾けることを得意としています。この市場にある他の製品とは、全く異なる強みを持っているのです。

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