1月に韓国で初となる「ドローンショー」が釜山で開催された。韓国南東部にある第2の都市・釜山は、アジア有数の貿易港であることや、東アジアや東南アジア諸国との近距離の利便性などを生かして、新たに「ドローン産業」に活路を見出そうとしている。
ドローンショーでは、韓国内56の企業や軍、研究所などが出展し、大韓航空やハンファ化学、韓国空軍、韓国宇宙航空研究所などが軍用、産業、農業といった幅広い分野のドローンを発表した。開発に力を入れ、ドローンを韓国の新たな産業として世界にアピールする狙いがあったといえる。
現在シェア、特許件数で世界1位を誇るシンガポールを射程に、将来的には世界トップを目標にしていることからも分かるように、ドローンショーは韓国の意気込みが伝わってくるものであった。
国をあげてドローン産業を活性化させる方針を打ち出している韓国では、日本と比較しても規制がまだ緩やかであるため、一般にもドローンの存在が身近に浸透しているという印象を受ける。
たとえば、最近のドローンブームにあやかり、大手スーパーマーケットや量販店ではドローンの販売に力を入れている。玩具感覚で気軽に楽しめるものから、本格的な操作ができるものまである。何と店内でドローンの操縦体験ができるスーパーもあり驚きだ。
また、小学校、中学校での課外授業の一環として、ドローンを取り入れる学校も増加傾向にある。韓国で「課外授業」は正式には「放課後授業」と呼ばれ、日本で言うところのクラブまたは同好会、加えて学童保育的な役割を果たしている。「学習」「芸術」「運動」など、さまざまな授業を外部からの講師に委託し、児童・生徒は希望する授業を選択し、受ける形だ。
釜山市のA小学校では、この夏休みから新たにドローンの放課後授業を開講した。授業のコンセプトは「自分で作れるドローン」。小学校1年生から6年生の受講希望者を対象に、週1回、1時間半の授業の中でドローンを組み立て、出来上がったドローンを実際に飛行させて技術の基本を教えるほか、飛行距離を競う大会なども授業計画に組み込まれている。受講料は1カ月材料費を含めて5万400ウォン(日本円で約4641円)だ。
ドローンによる度重なる事件や不祥事により、日本でのドローンへのネガティブなイメージと厳重な規制を考えると、子どもでも関心があれば、ドローンの知識や技術に触れ、視野を広めて行く機会を得られる場があることは画期的ではないかと思う。
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