またこの夏、新たな試みとしてドローンをセキュリティや安全管理に活用しようとする動きも見られる。本格的な夏休みを前に韓国北東部の仁川市では、海水浴場の安全管理と監視にドローンを投入することを決めた。
韓国の主要新聞の1つ「中央日報」は7月17日付けの記事で、仁川市が8月3~25日までの海水浴場オープン期間中に、安全管理の一貫としてドローンを投入することを伝えている。
ドローンの活用目的は「海水浴場及び周辺の巡回パトロール」と「人命救助」の2点。沖合い100m付近で溺れている人がいるという救助要請を想定して試験飛行し、要請から20秒で現場に到達したドローンが、救助用浮き輪を届け救出するというデモンストレーションを披露したことも伝えている。
仁川市にとどまらず、韓国国内の海水浴場を持つ自治体でドローンの活用を決定したり、検討する動きが広まっているという。ドローン活用によるセキュリティや安全管理の効果はまだ未知数であり、操縦技術や墜落といった問題点の懸念があることも否めないが、ぜひ注目したいところである。
韓国でも近年の高齢化の加速と、都市部と地方の格差、特に農村部の過疎化は日本以上の深刻な問題となっている。韓国統計庁の発表によると、2015年現在、第1次産業の農林業・漁業に従事する人口の40%以上が65歳以上であるという。高齢化に加え、若い世代が都市部での進学や就職を希望するため、後継者不足も顕著であり、廃業を余儀なくされる農家も後を絶たない。
そんな高齢化、人手不足にあえぐ農村でドローンの手を借りて作業する動きが出ているという。今回、韓国南東部の慶尚南道、南西部の全羅南道の各自治体が農村部でドローンを投入することが発表された。
特に手間や労力を要する、農薬散布、害虫駆除の作業をドローンによって効率良く進めることを目的としている。ドローンの投入を決めた自治体の1つ、全羅南道の潭陽(タミョン)郡では先日、韓国製ドローンによる作業が自治体関係者に披露された。自治体関係者は、「ドローンの試験飛行、性能検査などを総合的に考慮の上、8月中にドローンの使用を開始できるようにしたい」と見解を述べた。
確かに、前述のドローンショーでも、韓国の地方に本社を置く中小企業の出展が目立っていた。高齢化や人口減少といった現状を踏まえ、地方を拠点に「物流」「農業」「医療」などの分野におけるドローンの活用を視野に入れているものと思われる。
韓国で身近な存在になりつつあるドローンがこれから先、生活にどのように結びつき、モデルケースを作っていくのか期待したいところである。
(編集協力:岡徳之)
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