Facebookは、オレゴン州プラインビルにある同社のデータセンター内に、特製のラックシステムを備えたモバイル機器用プログラム試験施設を構築した。60本のラックにはそれぞれ32台のスマートフォンを収容可能で、同社はこの施設を使って2000台近くのスマートフォンを同時にテストし、「Facebook」「Messenger」「Instagram」などのアプリの新しいビルドを以前のバージョンと比較している。具体的には、アプリに性能や電力消費の面で何らかの不具合がないかどうかをチェックしている。
米国時間7月12日、プラインビルのデータセンターで説明役を務めたFacebookのプロダクションエンジニアAntoine Reversat氏は、Facebookが考えているのは、スマートフォン経由でログインする機会がますます増えている既存の15億人のユーザーだけでないと語った。同社はさらに、これから初めてオンラインの世界に足を踏み入れようとしている、地球上の何十億という人々のことも考えているのだという。
このモバイルラボを運営する小規模なチームがテスト対象となるスマートフォン端末を選定する際の考え方について、Reversat氏は「基本的な考え方は、世界各地の新興市場を考慮し、さらにここ米国で定番として使われている端末を採用するというものだ」と述べた。このような新興市場あるいは米国で広く使われているスマートフォンに加えて、このチームではハイエンド端末もテストしている。
それぞれのラックには、無線アクセスポイントとカメラが備えられ、アップデートされたアプリによってスマートフォンがどのような影響を受けるか、Facebookのエンジニアたちが視覚的に理解できるようになっている。1本のラックに収容可能なスマートフォンの数が32台とされたのは、1つのWi-Fiネットワークで安定的に通信を続けられる端末の数が32台だったからだ。
Reversat氏のチームは、データセンターのサーバと同じ仕様のラックを流用することができなかった。というのも、こうしたラックでは、あるラックが発するWi-Fiの信号が隣のラックの信号と干渉してしまうからだ。そのため、同氏のチームはラックに発泡絶縁材を貼りめぐらし、継ぎ目は内側から銅テープでふさいで、電磁シールド空間として機能する独自のラックを製作した。
Appleのデバイスをテストするために、1本のラックには8台の「Mac mini」が備えられており、それぞれに4台の「iPhone」を接続し、これらのMac miniで、アプリのインストール、テスト、アンインストールを実行している。また「Android」デバイスのテストには、各ラックに設けた4台のOCP Leopardサーバを用い、それぞれに8台のAndroidデバイスを接続している。
また、Reversat氏のチームはソフトウェア側での一貫性も求めてツールを開発している。これはむしろ、設定管理ツール「Chef」を使う「レシピ」といった方が良いだろう。Chefは、スマートフォンをテスト中に一貫性のある状態に保つ。
Reversat氏は今後について、ラック密度を倍にして、それぞれが64台のスマートフォンを収容できるようにしたいとチームが考えていることを明らかにした。これにはいくつかの課題が伴い、それには、スマートフォンと無線アクセスポイントの間に4フィート(約1.2m)の空間を保って電波を十分に減衰させるのを確実にするといったことが含まれる。また、チームがより大型のフォームファクタを持つスマートフォンのテストを2017年に実施することを考えているため、より多くのスマートフォンを収容することは難しくなる可能性がある。一方、チームは、ChefのレシピがiOSをより良くサポートするようにしたいとも考えている。
最終的にFacebookは、スマートフォンの制御で使用している自社のデバイステスト用ラックとChefのレシピをオープンソース化したいと考えている。
この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。
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