Daydreamがうまく動作するかどうかは、Androidの核心部分にVRを導入する、Android Nにかかっている。Lockheimer氏は、「そのことを想定してOSを一から構築することが、本当に重要だ。そこまでやるのは、テクノロジのためだけではなく、ユーザーに快適に使ってもらえるものを作るためでもある」と語る。
こう考えてみるといい。スマートフォンをDaydreamヘッドセットに設置すると、自動的にVRモードに切り替わる。しかし、VR体験のために使っているからといって、そのスマートフォンが携帯電話としての機能を停止する必要はない。火星の地表を探検しているときに電話やテキストメッセージを受信したら、ユーザーがVR体験を中断して電話に出られるようにAndroidは通知を表示する。その通知を無視して、(その場で)マリネリス峡谷をジョギングし続けてもいい。
GoogleはVRモード以外の通知も改善している。AppleのiPhoneのように、テキスト着信の通知から直接返信することが可能になり、これまでのようにテキストメッセージングアプリに移動する必要がなくなった。Android Nは分割画面ビューによって複数のアプリを同時に使用できる機能も提供する。これまで、分割画面をサポートするのは「iPhone 6 Plus」「iPhone 6s Plus」「iPad Pro」、そして、Androidの修正バージョンを搭載するサムスンの一部スマートフォンだけだった。
Androidでは、バッテリ消費を節約するための最適化も施されてきた。これは魅力的には聞こえないかもしれないが、実際にはすべてのユーザーにとって重要な機能の1つだ、とLockheimer氏は話す。Marshmallowでは、テーブルやデスクの上でスマートフォンが静止しているときに、普段実行されているバックグラウンドコンピューティングを停止する「Doze」という機能が追加された。Android Nでは、スマートフォンが完全な静止状態にないとき(例えば、ユーザーのポケットに入っているとき)でもバックグラウンドコンピューティングを停止する「Doze on the Go」機能が新たに搭載された。
しかし、ここで再び、あの悩ましい断片化の問題が関わってくる。これらの新機能はいずれも、メーカーや携帯電話キャリアが明示的に提供するまで、スマートフォンで利用することができない。大半のAndroidスマートフォンは2015年のMarshmallowさえ搭載していないため、最初のDozeを含む近年の機能改善を未だに享受できていない。
しかし、Googleの最大のパートナーの中には、事実上最初からAndroid Nをサポートすると言っている企業もいる。サムスンやHTC、ZTE、Huawei(ファーウェイ)、Xiaomi(シャオミ)、Alcatel、ASUS、LGは2016年秋よりDaydream対応スマートフォンの提供を開始する予定だ。
Googleファンへの朗報はほかにもある。Androidの最も興味深い新機能の1つは、Android Nより古いバージョンでも動作する。Googleは「Android Instant Apps」で、ユーザーが例えば1回しか利用しないような、実際にはダウンロードする必要のないアプリの扱い方を模索している(Google I/Oなどの会議への参加時にダウンロードするアプリを思い浮かべてほしい)。
Instant Appsを利用すれば、アプリをダウンロードしなくても、リンクをタップするだけでそのアプリにアクセスすることができる。例えば、スマートフォンで新しいカメラバッグをGoogle検索したとき、検索結果に表示されたカメラ小売業者B&Hのリンクをタップすると、同社公式アプリのショッピングカートに直接移動することができる。
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