また携帯キャリアは、総務省の“2年縛り”緩和に関する要請に対しても、必ずしも積極的な姿勢を見せている訳ではない。この要請は2015年7月に実施されたものであり、2016年に入ってから、携帯キャリア側は契約後2年経過した際に、無料で契約を解除できる期間を1カ月から2カ月に延長。さらに、3年目以降の“縛り”がなくなる仕組みなどの導入も進めている。
しかし、auとソフトバンクが3月に発表した「2年契約プラン」「新2年契約」は、契約当初から従来の料金にプラスして月額300円を支払うことで、3年目以降の解除料がかからない仕組みとなっていた。この仕組みは一見メリットがあるように見えて、実は従来の料金プランより安価に解約できるのは27カ月目から31カ月目までの短期間だけであり、その価格差も1400円程度と、あまりメリットがないものとなっている。
一方でドコモが打ち出したのは、2年間の契約が終了した後に、「ずっとドコモ割コース」と「フリーコース」のいずれか一方を選べる施策。「ずっとドコモ割コース」は、従来と同様に縛りはあるものの、長期契約割引などの特典がある。「フリーコース」は、特典はないものの従来通りの料金で縛りがなく、いつでも解約できる。
au、ソフトバンクの施策と比べればユーザーメリットがあるものとなっているが、ドコモは長期契約割引の「ずっとドコモ割」を強化するなどして、「ずっとドコモ割コース」を選んでもらいたい意向を明確に示している。
こうした携帯キャリア側の姿勢を見ると、やはり高い基本料を2年縛りで長期的に支払ってもらいたいという意向を明確に感じ取ることができる。総務省の積極姿勢で端末価格が高騰する一方、携帯キャリア側の消極的な対応で基本料が下がらない。つまり、現在は総務省と携帯キャリアのにらみ合いが続いている状況であり、その影響を受けることで、ユーザーは安倍首相の発言とは裏腹に、料金負担が増える一方となってしまっているのだ。
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