9月に安倍晋三首相が携帯電話の料金引き下げを検討する旨の発言をしたことから、突如巻き起こった料金の引き下げ議論。首相発言を受けて総務省で実施された、「携帯電話の料金その他の提供条件に関するタスクフォース」での議論を改めて振り返るとともに、その結果からキャリアに対しどのような指示が出されたのかを確認しよう。
経済財政諮問会議において、安倍総理が高市早苗総務大臣に対し、携帯電話料金の引き下げを求めたのは9月11日。それを受けて総務省は、「ICTサービス安心・安全研究会」の下に料金引下げの検討を進めるためのタスクフォースを設置。10月19日から12月16日の計5回にわたって、話し合いが進められることとなった。
第1回のタスクフォースでは、まず料金引き下げの前提となる携帯電話市場の動向を把握し、その上でどのような形で料金引き下げを実現できるのかについて、議論が進められた。
そもそも、安倍総理が携帯電話料金の引き下げを指示したのは、携帯電話による支出が増えており、家計に占める割合が上昇していることが背景にある。つまり携帯電話料金を下げ、その分の支出をほかに回すことで、景気改善効果を狙ったものと考えられる。しかしながら、第1回のタスクフォースにおける総務省の調査で、日本の携帯電話料金は諸外国と比べ高いかといえばそうでもなく、米英などと比べると安いことが判明した。
しかも、タスクフォースの構成員の1人である野村総合研究所の北俊一氏が、「スマートフォンから映画やゲームなどを利用するようになっているため、家計に占める携帯電話の支出は増加する仕組みになっている」と話すように、スマートフォンでさまざまなコンテンツを利用したり、買い物をしたりする傾向が高まっている以上、携帯電話の料金の割合が高まることは必然といえる状況になっている。
そのため、タスクフォースでの議論は、携帯電話の料金を下げて家計の支出を抑えるというよりも、ユーザー間の料金の公平性を求めるという、当初の目的とはやや異なる方向へと向かっていくこととなる。
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