「コレをやれば(食べれば)頭が良くなる!」と言われると、人はその食品やゲームなどに飛びつきがちだ(かく言う筆者も例外ではない)。しかし、本書を読めば、それらの多くに科学的根拠がないことを知る。一方で、健康に悪影響を及ぼすたばこに含まれるニコチンには、認知能力をアップさせる効果が実際にあるという。
とは言え、肺がんになるリスクを冒してまで、たばこを吸うわけにはいかない。しかしわれわれが、いかに単なる思い込みや根拠のないうわさ、企業の広告などによって、「脳に良い」という製品に振り回されているかを知っておくことは重要だ。本書は、科学ジャーナリストの著者が、「脳力向上」に関して、膨大な数の資料にあたって調査した内容を紹介しているだけではなく、著者自らが実践したトレーニングとテストの結果も公開している。果たして著者の知能は向上したのだろうか?
著者のトレーニングの結果は本書を読んでいただくとして、本書には「知能」に関する興味深い事例がたくさん掲載されている。「頭が悪い」と思っている、あるいは思われている人でも、知能が向上する可能性があり、その原因が病気の場合でも、知能が改善する可能性はあるようだ。万人に効果がある方法が見つかっているわけではなくても、こうした研究の成果は、今後、われわれ自身にも影響を及ぼすかもしれない。
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